福島民友ニュース 2014年12月23日
原子力災害時の県内対応拠点として(福島)県は22日、楢葉町に「県原子力災害対策センター」(福島オフサイトセンター)を起工した。東京電力福島第1原発事故で機能不全に陥った大熊町の現センターの反省を踏まえ、防災や放射線対策などの機能を強化し、2016(平成28)年3月までの開所を目指す。24日は南相馬市のセンターも着工する。
センターは楢葉町と南相馬市に整備。楢葉南工業団地に建設される楢葉のセンターは主に約7.5キロ離れた福島第2原発の非常事態に対応し、非常時には現地対策本部などを設ける。完成後は原子力規制庁の現地事務所職員ら約15人が常駐する。延べ床面積は約3500平方メートルで、事業費は約17億3500万円。
福島第1原発事故の際には、災害対応の前線拠点となる現センターが高線量や通信障害によって機能しなかった。教訓を踏まえ、新たに放射性物質の浄化フィルターを設置したり、壁を厚くするなどの対策を施した。複合災害を想定し免震構造も取り入れ、通信障害の対応として衛星電話を増やすなど通信手段も多重化。また、2基の非常用発電機やヘリポート、長期間の活動を想定して食料、燃料の備蓄施設も備える。
現地で起工式を行い、村田文雄副知事や田谷聡復興庁福島復興局長、太田英久原子力規制庁福島第2原子力規制事務所長がくわ入れ、工事の安全を祈願した。村田副知事は「緊急時の対応拠点として極めて重要な施設。原子力防災体制の整備を進め、県民の安全・安心を確保したい」と語った。