原電の東海第二原発は、運転期限の40年となる11月までに、運転延長について原子力規制委の審査を終えるため、手続きの書類を作るため他電力会社から40人もの派遣を受けるほか、安全対策費を行う自己資金がないために他電力に債務保証をしてもらわなければならないという状況にあります。
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東海第二原発の再稼働 原電、他電力依存じわり
東京新聞 2018年2月3日
東海村の東海第二原発を運営する日本原子力発電(原電)が再稼働に向けた手続きを終えるため、他電力への依存を強めている。運転期限の四十年となる十一月までに、原子力規制委員会の審査を終える必要があるからだ。手続きの書類を作るため、他電力会社などから四十人もの派遣を受けるほか、安全対策費を確保するにも他電力頼みになっている。 (越田普之)
◆総掛かり
「相当の決意を持って取り組んでもらわないと時間的に厳しくなっているが、認識しているか」
規制委の更田豊志委員長は先月二十四日、東京都内で開かれた意見交換会で、原電の村松衛社長にそう質問し、「やる気」を確認した。
再稼働の条件の一つになっている安全対策工事の詳細を盛り込んだ工事計画の審査が、遅れ気味で進んでいる背景がある。この審査のほか、新規制基準と、運転延長の計三つの審査が今年十一月までに終わらないと、廃炉になる。
これに対し、村松社長は、工事計画の審査に対応するため、要員を百六十人から二百人へ増強していると説明。原電によると、新たに加わった四十人は、東海第二と同じ沸騰水型炉を保有する複数の電力会社や原発メーカーの社員だという。電力業界が総掛かりで原電を支えている様子が浮かび上がる。
村松社長は「沸騰水型の工事計画の審査の進行は東海第二がトップで、他社にとっても(ノウハウを学ぶことで)メリットがあり、お願いした」と審査完了に自信を見せる。
東京電力は「情報共有など審査への協力はしてきた。応援の四十人の中に社員がいるかどうかはお答えできない」としている。
◆依頼先は
手続きのメインになる新基準の審査でも、原電は他電力会社からの支援がなければ、ほとんど立ち行かなくなっている。
事故時の対応など技術的な議論は昨年十月末までにほぼ終えているが、対策工事に必要な財政的裏付けがあるのかについては、結論が出ていない。
防潮堤の建設や、事故対応の新しい装置の設置などの工事には、約千八百億円が必要となる見込み。
その資金の借り入れのため、原電はみずほ銀行と日本政策投資銀行と交渉し、原電が返済できない場合に備える債務保証は、東海第二の売電先となる東電と東北電力へ依頼している。
債務保証の依頼先の東電は、福島第一原発事故を起こし、現在も事故収束の見通しが立っていない。実質国有化されるなど、国費が投入された立場の東電が債務保証することには、納税者から批判が出る可能性がある。
こうした問題を記者団に問われた村松社長は「先方の内部事情についてはコメントを控える」と歯切れが悪い。
電力業界の後ろ盾を受け、再稼働に向けた手続きを推し進める原電だが、地元の反発を恐れてか、いまだに再稼働を明言しない。原電は三日午前十時半の東海村の東海文化センターを皮切りに、周辺十五市町村で住民説明会を開く。原電の「再稼働隠し」の姿勢も問われることになる。