共産党の笠井亮議員は6日の衆院予算委で、英国へ原発輸出をすすめる日立製作所のプロジェクトを日本政府が推進している問題を取り上げました。
報道によれば、日立は2012年に買収した100%子会社の英ホライズン社を通じて、英国西部に原発2基を建設する計画で、総事業費約3兆円のうち融資額2兆2000億円を日英で折半することにし、日本分の融資額1兆1000億円の全額を政府系の日本貿易保険(NEXI)が保証する方向で検討しているということです。
要するに、万一の場合は日本貿易保険が日立に代わって融資分を返済するわけです。
笠井議員の質問に対して、世耕弘成経産相も日本貿易保険の板東一彦社長も明言を避けましたが、報道されているようになるのはほぼ間違いありません。同議員が言うとおり「儲けは日立が取り、巨額の損害が出た場合は、そのツケを国民に回す」ことになります。
これに限りませんが、政府による「原発」の特別扱いは目に余るものがあります。
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日立の原発輸出 支援やめよ 衆院予算委で笠井議員 政府保証を追及
英での新設計画 損害出れば国民にツケ
しんぶん赤旗 2018年2月7日
日本共産党の笠井亮議員は6日の衆院予算委員会で、英国へ原発輸出をすすめる日立製作所のプロジェクトを日本政府が推進している問題を取り上げ、「巨額の損害が出た場合は、そのツケを国民に回すことになる」と批判しました。
日立は英国で事業費3兆円規模の原発新設計画を進め、2019年ごろに最終投資決定、20年代前半に運転開始を目指すとしています。笠井氏は、東京電力が福島原発事故を起こし、世界でも原発撤退の流れが強まるなかで日本政府が日立の原発輸出を後押ししていることを批判。17年12月に日英両政府のエネルギー担当相が交わしたとされる「書簡」で「資金面を含む協力内容が取り決められているのではないか」と迫りました。世耕弘成経済産業相は「外交上のやりとりに関することで答えはさし控える」と述べたものの、「書簡」の存在は否定しませんでした。
笠井氏は、安倍晋三首相が議長をつとめる「未来投資会議」(16年12月19日)で、日立の中西宏明会長(次期経団連会長)が「政府がリスクを民間とシェアすることが出発点」「原子力でそういう議論を真剣にしており、日本政府からもご支援いただいて、大変ありがたい」と発言していることを指摘。また、笠井氏が日立社員の経産省への出向状況をただすと、人事院の福田紀夫人材局長は「16年に1名が交流採用されている」と認めました。
さらに、笠井氏は、日立の原発新設計画には、政府全額出資の日本貿易保険(NEXI)を活用して100%の政府保証を付けることも可能だとして、NEXIが17年12月、日立に提出したとされる「趣意書」で「保証を承諾することが明記されているのではないか」とただしました。NEXIの板東一彦社長は「個別案件については存否を含めて説明を控える」としか答えませんでした。
笠井氏は「100%政府保証をつければ、ツケはすべて国民に回ることになる」として、「国会と国民に事実を示すべきだ」と強調。「『もうけは日立と原発利益共同体へ、損失は国民へ』という原発輸出はキッパリやめよ」と主張しました。
論戦ハイライト 対英原発輸出 衆院予算委 笠井議員追及
もうけは日立 ツケは国民
しんぶん赤旗 2018年2月7日
6日の衆院予算委員会で日本共産党の笠井亮議員は、東京電力福島原発事故の収束や原因究明が終わっていないにもかかわらず、日立製作所と日本政府が一体となり、巨額な損失が出れば国民にツケが回る枠組みで原発輸出を進めている問題をとりあげました。
政府と企業が二人三脚
日立は2012年に英原子力子会社ホライズン・ニュークリア・パワーを買収し、英アングルシー島ウィルファに原発を2基建設する予定です。20年代前半の運転開始を目指しており、総事業費は約3兆円とみられています。
16年末に日英両国のエネルギーの担当相が署名した「協力覚書」では日立の事業名が明記されています。17年12月には「日本側は英国政府と資金支援の大枠を2017年中にも固める」などとする「今後の協力に関する書簡」を日英エネルギー担当相が交わしたと各紙で報じられています。
笠井 「書簡」では資金面での支援を含む協力内容が取り決められているのでは。
世耕弘成経産相 外交上のやりとりに関わるので、ご指摘の文書は存否も含めて答えを控える。
笠井 「ない」と否定できない。何らかの約束をしている疑いが出てくる。
笠井氏は17年に出した日英首脳会談の「共同宣言」で英国での原発新設の協力推進を確認していることを挙げ「首相は英国で原発新設の協力推進を約束した当事者だ。資金面の支援も含めて一体になって推進したのではないか」と追及。安倍首相は「首脳間の外交上のやりとりなので、答えは差し控える」と答弁を避けました。
笠井氏は、安倍首相が議長を務める「未来投資会議」で次期経団連会長である中西宏明日立会長が「(原発輸出は)政府が民間とリスクをシェアすることが出発点」と発言していたことを挙げ、日立が政府による資金面での支援に感謝していた事実を示しました。
笠井氏は、日立と経済産業省の関係を追及。人事院の福田紀夫人材局長は、日立の職員が16年8月から2年間の任期で経産省の貿易経済協力局通商金融課資金協力室に勤務していると答弁、海外資金協力の担当課に在籍していることが明らかになりました。
笠井氏は、原発政策を推進した望月晴文元経産省事務次官が、日立の社外取締役に就任していることや中西会長が安倍首相を囲む経済人の会合「さくら会」のメンバーであることを指摘。「文字通り(日立と日本政府の)二人三脚だ」と批判しました。
事業損失は税金で保証
日立の原発事業の総事業費は約3兆円とされ、日本側の融資分はメガバンクや国際協力銀行からの資金でまかなうことが見込まれています。
その巨額の融資を、政府が全額出資する特殊会社、日本貿易保険(NEXI)が100%保証することに合意したと報道されています。事業の損失には保険が支払われ、国民にツケが回ることになります。
途上国向けが原則の100%政府保証を、先進国での事業に適用するのは異例です。
笠井氏は、2017年12月に日本貿易保険が日立の求めに応じて提出したとされる、資金支援の意思を示す「趣意書」の存在について追及。
板東一彦・日本貿易保険代表取締役社長 当社と関係企業のやりとりに関しては、存否を含め、説明は差し控える。
笠井 100%政府保証をつければ、ツケはすべて国民に回ることになる。「書簡」や「趣意書」の存否さえ明らかにしないなど断じて許されない。
笠井氏は「もうけは日立と原発利益共同体へ、損失は国民へ」という原発輸出と再稼働を中止し、再生可能エネルギーの飛躍的普及にかじを切るべきだとしました。