福島大未来支援センターが、双葉郡7町村の約2万7000世帯を対象に実施した第2回住民実態調査の結果、「うつ症状に近い状態にある人」が56・5%(2011年調査では74・3%)で、福島原発事故が長期にわたって精神的被害をもたらしている実態が浮き彫りとなりました。
古里への帰還は「戻る気はない/戻れない」が58・8%で、前回の24・1%から大幅に増えました。
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「うつ症状に近い」56.5% 福大の双葉郡7町村調査
福島民報 2018年2月16日
福島大うつくしまふくしま未来支援センター(FURE)は15日、双葉郡7町村の約2万7000世帯を対象に実施した第2回住民実態調査の結果を発表した。「うつ症状に近い状態にある人」が56.5%に上り、2011(平成23)年9~10月に行った前回調査の74.3%より改善傾向にあるが、東京電力福島第一原発事故が長期にわたって精神的被害をもたらしている実態が浮き彫りとなった。
今後の生活の経済面については33.8%が「とても不安」、40.5%が「ある程度不安」と回答した。「原発廃炉までに事故が起きないか」「中間貯蔵施設、廃棄物処理施設の安全性」を不安視している住民も7割以上だった。
就労面の影響も大きく、震災後に無職となった64歳以下の生産年齢人口のうち23.3%がいまだに無職だった。調査に当たった丹波史紀福島大客員准教授は「どこで生活再建するか迷っている人が多く、定職に就けない状況が続いているのではないか」と分析し、「実態に合った賠償に加え、就労支援などが必要」と指摘した。
古里への帰還を望んでいる人は「近年中に戻りたい」6.6%、「将来戻りたい」10.5%の合わせて17.1%で、前回調査の65.2%を大きく下回った。一方、「戻る気はない/戻れない」は58.8%で前回の24.1%から大幅に増えた。19.9%が「悩んでいる」と答えた。
調査は2017年2~3月、東日本大震災と原発事故発生時に楢葉、富岡、川内、大熊、双葉、浪江、葛尾の7町村に居住していた2万6582世帯に調査票を郵送。1万81世帯から回答があった。結果はFUREのホームページで公表している。