AFP通信が、福島第一原発の視察者数を2020年までに2万人に倍増させたいという東電の構想を報じました。
福島原発廃炉作業の現況が分かるニュースです。
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福島第一原発の視察者数、東京五輪までに2万人目指す 東電
AFP 2018年2月6日
【2月6日 AFP】福島第一原子力発電所を管理する東京電力は、東京夏季五輪に世界中から注目が集まるのを契機に、津波で激しく損壊した同原発施設への視察者の数を2020年までに倍増し、同地域に対するマイナスのイメージを払拭(ふっしょく)することを目指している。
2011年の東日本大震災による福島第一原発事故以降、同施設の視察が許されるのは当初、原子力専門家、議員、政府関係者と一部の報道関係者のみに限られていた。しかし、構内の大半で防護服を着用せずに作業できるほど放射線量が下がってきたことを受け、訪問者の数は次第に増えてきている。
東京電力は現在、地元住民、大使館員、学校の生徒らの集団見学の申し込みを受け付けているが、個人の申し込みはまだ受け付けていない。
東京電力ホールディングス原子力・立地本部長代理の木元崇宏氏はAFPの取材に対し、昨年3月の年度末までの訪問者数が約1万人に上ったことを明らかにした。東京五輪が開かれる2020年にはこの数字を2万人に増やすことを目指しているという。
「われわれの意図は『安全です、安心です』ということを発信することではありません。何がイチエフ(福島第一)で起こっているのかということを、色をつけることなく見ていただくことが重要です」
「見ていただくということで風評を防いだり、地域の復興の一助になればと思います」
そう話す木元氏は、国際オリンピック委員会(IOC)の委員も喜んで案内したいと付け加えた。
福島県は、日本政府が取り組む同地域の復興への取り組みの一環として五輪の野球・ソフトボールの試合会場を提供することになっており、県としても、注目が集まることに期待を寄せている。
木元氏は、東京電力には同地域の復興だけではなく、未来の世代に苦い教訓を伝える責任があると強調した。
構内では除染作業が継続中で、数千人の作業員には温かい食事とシャワーが提供され、コンビニエンスストアで菓子なども買える。だが、炉心溶融(メルトダウン)を起こした3基の原子炉周辺の放射線量は依然として極めて高く、数十年かかるとされている廃炉作業の妨げとなっている。
■廃炉作業の初期段階は終わりに近づいたが…
原発事故から7年を迎えるに当たり、3号機原子炉建屋の最上階に近づくことを特別に許可されたAFP記者が目にしたのは、深い3号機プールにためられているよどんだ水だった。その下には560本以上の燃料棒が置かれている。
防御服に手袋、全面マスクを身に着けた作業員らは最上階に1日最長2時間までしかいられない。隅々に下げられた線量計が現在の放射線量を表示している。
建屋の上部には今、巨大なドーム状の鋼鉄製の屋根を設置する工事が進められている。今年後半には燃料棒をプールから離れた保管場所に移すことになっており、その際、放射性物質が漏れるのを防ぐためだ。
廃炉作業の初期段階は終わりに近づいているが、東京電力ホールディングス福島第一廃炉推進カンパニー廃炉コミュニケーションセンター取材グループマネージャー廣瀬大輔氏によると、最大の課題は高線量との長期に及ぶ闘いだ。
「作業員の被ばく量をできるだけ下げなければならない。しかし、そうすると長く作業ができない。線量を低く、しっかり管理した計画値の中で働いてもらうというのが普通の現場との違いです」と、廣瀬氏は話した。
廃炉および除染、賠償にかかる費用は推定総額21兆5000億円に上るとされており、東京電力は同原発の廃炉の目標を30~40年後としている。