指定廃棄物最終処分場建設についての福島県市町村長会議が25日に開かれました。
初めて出席した石原伸晃環境相は、初めのうちは「早急に調査したいというのが切なる願いで、環境省が先頭に立って頑張りたい」などと述べましたが、結局は県に35市町村の意見集約を要請し、詳細調査実施の判断を委ねました。
驚いた村井知事が「ボールを私の方に投げたということですか」と確認する一幕もあったということです。
げたを預けられた村井知事は会議終了後、「寝耳に水だが、市町村の意向を尊重し、より民主的に決めたい考えと受け止めた」と話しました。
県町村会長の鈴木勝雄利府町長は、「何のための会議だったのか。もう一度開いても議論は同じことの繰り返しになる」との見方を示しました。
石原氏に事態打開の指導力を期待していた首長たちからは、「主体性がない」などと落胆や批判の声が出されました。
国は一方的に決めたことを法令などを盾に取って強引に押し付けることは出来ても、立場によって様々に意見が分かれる問題を、市町村の納得を求めながら上手く調整する能力はないということが、ここでも証明されました。
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国への不信感あらわ 最終処分場市町村長会議
河北新報 2014年7月26日
環境省は25日、指定廃棄物の最終処分場建設をめぐる市町村長会議を仙台市宮城野区のメルパルク仙台で開いた。県内の全首長に出席を呼び掛けた会議は半年ぶりで、出席者は国への不信感をあらわにした。初めて出席した石原伸晃環境相には、県に事態の収拾を委ねたことに批判が噴出した。環境省が求める詳細調査受け入れはめどが立たないまま、議論は次回以降に持ち越された。
処分場建設候補地の栗原市と大和町は、加美町を含む3市町がそろって詳細調査を受け入れる必要性をあらためて表明。加美町は無条件に拒否する立場を説明した。
佐藤勇栗原市長は「候補地は岩手・宮城内陸地震の大崩落地と同じ。少しの揺れで地滑りが起きる場所に造るのはおかしい」と指摘。「汚染稲わらなどを一時保管する自治体側としては早く決めてほしいという思いだ」と述べた。
浅野元大和町長は「候補地が陸上自衛隊の演習場に近接する危険性や町内で震災がれきを受け入れた実績が考慮されなかった」と批判。「環境省から納得できる説明はないが、これまでの議論は尊重する」と語った。
猪股洋文加美町長は「候補地は処分場建設に必要な面積を確保できない。候補地から除外すべきだ」と従来の主張を繰り返した。放射性物質汚染対処特別措置法の見直しや、廃棄物の福島第1原発への集約も求めた。
県に対応を委ねた石原環境相への批判は候補地以外の首長からも上がった。
「放射能汚染対策に取り組む環境省の本気度を疑う」と切り出したのは伊藤康志大崎市長。「霞が関と現地の乖離(かいり)を感じる。地域の実情を真正面から受け止めてほしい」と強調した。
会議後、大量の汚染稲わらを抱える登米市の布施孝尚市長は「国は3市町の疑問に答えていない。主体性が感じられず、大変不満。知事にげたを預けたのも期待外れだ」と批判した。
県町村会長の鈴木勝雄利府町長は「何のための会議だったのか。もう一度開いても議論は同じことの繰り返しになる」との見方を示した。
今後の展望について県市長会長の奥山恵美子仙台市長は「時間的制約がある中で、残された選択肢は何かを見極め決断しなければならない」と語った。佐藤昭塩釜市長は「(詳細調査を受け入れの条件提示など)新たな提案がないと交わるポイントは見つけにくく、解決には向かいにくい」と話した。
◎「水源地守れ」 市民団体、会場前デモ
市民団体の東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター(仙台市)と県労連は25日、宮城野区の榴岡5丁目公園で、指定廃棄物の最終処分場建設に反対する緊急集会を開いた。
市民団体や農協などから主催者発表で約340人が参加。「水源地を守るためにも住民合意を無視した建設計画の撤回を求める」との集会アピールを採択した。
参加者らは終了後、市町村長会議が開催されたメルパルク仙台周辺をデモ行進した。会場前に差し掛かると「環境を守れ」などの掛け声がひときわ大きくなった。