2014年7月21日月曜日

福島 焼却時の「飛灰」もたまる一方

 「飛灰」とは、廃棄物を焼却した際に排ガス中に浮遊して集塵装置などで捕集された煤塵のことで、焼却によってガス化したセシウムなどの放射性物質が濃縮されています。いわき市の焼却場の敷地には、フレコンバッグに入りシートがかぶせられた飛灰いわゆる野積み状態で保管されています。
 従来民間業者に引き渡し、コンクリートの原料などに使われていましたが、原発事故後は業者が飛灰引き取らなくなり、国が言う最終処分場に必要な処置を施して埋める方法も、周辺住民の不安から出来ないでいるためです。
 
 いわき市は5月末現在で、2カ所の一般廃棄物焼却施設に保管している8000ベクレル以下の飛灰が計1万1700トンに上り、国が「指定廃棄物」として処分する筈の8000ベクレル超の焼却灰4600トンも搬出先が決まらず、施設内に一時保管しています。飛灰はいまも1日十数トンのペースで増え続けています。
 これは勿論いわき市だけの問題ではなく、がれきの焼却を行っている市町村は勿論、福島県など放射能汚染地に共通な問題です。

 河北新報が飛灰と主灰(燃え殻・焼却灰)の仮置きの問題を取り上げました。こうした問題も未解決のままで、政府・経済界・原子力村は原発の再稼動を目指しているわけです。
 
追記) なお新潟県は飛灰などの問題は基本的にありませんが、浄水場汚泥の仮置きの問題は、東電が行動を起さないので未解決のままです
※ 2013年5月20日 東電は一向に汚泥の引き取りに応じない
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福島「飛灰」たまる一方 一般廃棄物も放射線懸念
 河北新報 2014年7月20日
 福島第1原発事故の影響で、福島県内の自治体や広域行政組合が、家庭ごみなど一般廃棄物の焼却灰の処理に頭を悩ませている。放射性セシウム濃度が1キログラム当たり8000ベクレル以下は自治体が処理すると定められているが、放射線への懸念などが壁となり、行き詰まっているからだ。特にセシウムが凝縮する飛灰はハードルが高い。行き先の決まらない灰が焼却施設や処分場に仮置きされ、たまり続けている。
 
 いわき市は5月末現在で、2カ所の一般廃棄物焼却施設に保管している8000ベクレル以下の飛灰が計1万1700トンに上った。主灰は市の最終処分場に埋め立てているが、飛灰はフレコンバッグ(密封可能な保管用袋)に収められ、施設の敷地内に山積みされている。
 飛灰は従来、民間業者に引き渡し、コンクリートの原料などに使われていた。原発事故後は業者が引き取らなくなり、最終処分場に必要な処置を施して埋める方法も、周辺住民の不安から困難な状況だという。
 国が「指定廃棄物」として処分する8000ベクレル超の焼却灰4600トンも搬出先が決まらず、施設内に一時保管している。2012年夏以降は8000ベクレル超の灰は発生していないが、現在は市が処理すべき飛灰が1日十数トンのペースで増え続けている。
 市環境整備課は「セシウム濃度の低い飛灰を引き受けてくれる業者を探している。少しずつでも処理を進めたい。このままでは来年3月末で置き場がほぼ満杯になり、新たな場所を確保する必要がある」と説明する。
 福島県によると、県内の自治体や広域組合の18事業体のうち、8000ベクレル以下の焼却灰を埋め立て処分しているのは6事業体。残り12事業体が抱える焼却灰は計7万5000トン(5月末現在)に達する。多いのは福島市や郡山市の各2万トンで、両市はいわき市と異なり、主灰なども一緒に保管している。
 いわき市は今月、市内を訪れた浜田昌良復興副大臣に提出した要望書で、8000ベクレル超の早急な処分開始とともに、8000ベクレル以下も国の責任で処分するよう求めた。
 国処理分2万4000トンと合わせ、市の最終処分場に仮置きしている福島市も「最終的には8000ベクレル超もそれ以下も、国に処理してほしい」(清掃管理課)と訴える。
 
[飛灰] 廃棄物を焼却した際に発生、浮遊し、集じん装置などに付着したばいじん。飛灰にはダイオキシンなどが多く含まれるため、埋め立てには固形化などの処理が必要。飛灰に含まれる放射性セシウムは水に溶け出しやすいとされる。燃え殻は主灰と呼ばれ、主灰のみを焼却灰と言うこともある。環境省は、8000ベクレル以下の灰について、一般の管理型処分場に雨水浸水防止などの措置を施し、埋め立てれば安全性は確保できるとの指針を示している。