僅かの流動があるために2号機タービン建屋とトンネル(トレンチ)の接続部に「氷の壁」ができない問題を解決するために、東電は、トンネル内の水に毎日5トン超の氷やドライアイスを投入して水温を5℃まで下げて、凍りやすくすることを考えていることが分かりました。
なんとも原始的な方法でとても他の箇所に応用できるものではありませんが、なんとかトレンチ内の水を抜くための苦肉の策として行おうというわけです。
ところで凍土壁は、冷却管を1mピッチで深さ30mまで挿入するという工法で、周囲約1500mにわたる地中壁を作るものですが、地下水温は15℃前後で5℃よりも高く、全施工範囲において地下水の流動速度が10センチ/時以下であるとは限らないので、凍結が完成するという保証はありません。
ということは工事の完成が見込めないということで、こうした不確実極まりない工事に着手した責任が何よりもまず問われます。
出来上がってから「ダメでした」ということではなくて、いま行うべきことはダメだった場合にどう対応するのか、その対策(または代替案)を急いで準備しておくということです。
出来上がってから「ダメでした」ということではなくて、いま行うべきことはダメだった場合にどう対応するのか、その対策(または代替案)を急いで準備しておくということです。
東京新聞が工事内容と施工箇所がよく分かる図を載せましたので紹介します。
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氷5トン超 毎日投入 福島第一 難航する凍結止水作業
東京新聞 2014年7月24日
東京電力福島第一原発の地下トンネルにたまる高濃度汚染水の抜き取り作業が難航している問題で、東電は二十八日から、トンネルに毎日五トン超の氷やドライアイスを投入する。汚染水の温度を下げ、2号機タービン建屋とトンネルの接続部に氷の壁ができやすくする狙い。
タービン建屋との水の行き来をなくしてトンネル内の汚染水を抜かないと、再び重大な海洋汚染を引き起こす危険が残る。これまでの計画では、トンネル内に粘土などを詰めた袋をいくつも置き、凍結液を循環させて袋や周辺の水を凍らせて止水し、汚染水を抜いてトンネルをセメントで埋める予定だった。
ところが四月末に凍結作業が始まって以降、一部しか凍らなかったり、凍った部分が溶けたりと不安定な状態が続いている。全体が壁のように凍らないと止水できないため、原子力規制委員会が代替策の検討を指示していた。
二十三日に開かれた規制委の専門家会合で、東電は現状の汚染水の水温(一五度)を五度まで下げられれば、全体が凍るとの試算を示した。
トンネル上部の穴から氷を一日五・四トン、ドライアイスも一トンを投入することで水温が十分に下がり、凍結液を循環させる管も四本増やすことで達成できそうだとする。
それでも凍結しない場合は、袋同士が密着していない部分にセメントなどを流し込んで隙間を埋める作業を、八月下旬から実施。ただセメントが固まれば元に戻せなくなるため、東電はあくまでも最終手段にしたい考えだ。
検討会で規制委の更田(ふけた)豊志委員は東電側に「氷の投入という極めて原始的な方法だが、やれることは何でもすぐにやってほしい。お盆のころには結果が分かると思うので、朗報を聞きたい」と話した。