2014年7月30日水曜日

川内原発の火山影響評価についての質問事項

 「原子力規制を監視する市民の会」が「川内原発の火山影響評価についての質問事項」(729日政府交渉用)を公表しているので紹介します。
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川内原発の火山影響評価についての質問事項
        (2014年7月29日政府交渉用)
原子力規制を監視する市民の会
<資料要求>
 燃料体を原発から遠く搬出するために必要な冷却期間について、国内の全原発それぞれについてわかる資料
 
<質問>
1.運用期間中に設計上対応不可能な火山事象が生じる可能性について
 (1)運用期間は何年と想定して審査を行ったのか。
 (2)審査書案に、「鹿児島地溝全体としてのVEI7以上の噴火(注:カルデラ噴火)の平均発生間隔は約9万年」としているが、九州電力は補正申請で主張する「周期性」は認めないということか。であれば、運用期間中にカルデラ噴火の活動可能性が十分低いことの論拠にはならないのではないか。
    九電補正申請 「活動間隔は約9万年の周期性を有している」
    規制委審査書案 「平均発生間隔は約9万年」
 (3)審査書案に、「Dritt et al.(2012)がVEI7以上の噴火(注:カルデラ噴火)直前の100年程度の間に急激にマグマが供給されたと推定している知見」について、サントリーニ島のミノア噴火のたった一度の事例が、南九州における次のカルデラ噴火にも適用できるとする根拠は何か。
 (4)(3)の件につき、適合性審査会合において、九州電力は、サントリーニ島の事例と並べて、ロングバレー火山の事例(Gualda et al.(2012):500~3,000年程度の間に急激にマグマが供給されたと推定している知見)を挙げていたが、これは適用しないのか。
(5)(3)の件につき、2014年3月19日の適合性審査会合において、島﨑委員長代理は、日本の事例で、万年オーダーで供給された事例があれば立地不適となる旨発言したところ、九州電力は、問題のカルデラで岩石学的調査を準備中であると述べ、5月13日の適合性審査会合においても調査中であるとの発言があった。この調査はどうなったのか。この調査結果を見たうえで審査すべきだと考えるが如何か。
 (6)現規制庁のJNESが実施した第2回火山検討会(2013年10月)において、姶良カルデラの岩石学的調査について検討されたようだが、これの内容について明らかにされたい。
2.カルデラ噴火の兆候把握時の対処方針について
 (1)兆候を把握した場合の対処方針について、申請者(九州電力)は、どのような兆候に対してどのように対処する方針なのか、判断基準と具体的な対処について明らかにされたい。それをどのように審査したのか。これらについて、審査書案に記載がないのはなぜか。
 (2)(1)について、保安規定に書き込ませるつもりであれば、その文案を含めてパブリックコメントにかけなければ意味がないのでないか。
 (3)「燃料体等の搬出等」の「等」は何を指すのか。
 (4)燃料体の搬出について、これに何年かかるとの想定で審査したのか。
 (5)川内原発の場合、燃料体を原発から遠く搬出するために必要な冷却期間は何年と把握しているか。
 (6)燃料体等の搬出等が可能な状況で兆候の把握ができることが前提になっているが、これは何によって保証されるのか。
3.辻元清美提出6月18日付の2本の質問主意書に対する6月27日付政府答弁書について
 (1)「『火山の専門家』はいない、ということで間違いないか」という質問に対し、「原子力規制委員会の委員及び職員は、火山影響評価に係わる安全研究の推進、学術論文の収集等を通じて、火山に係わる国内外の知見の蓄積に努めているところである」と回答しているが、要はいないということで間違いないか。
 (2)「カルデラ噴火については、その前兆を捉えた例を承知しておらず、噴火の具体的な発生時期や規模を予測することは困難である」と回答しているが、燃料体の搬出にかかる年月を考慮すると、噴火の具体的な発生時期や規模が予測できなければ、燃料体の搬出などできないと考えるがいかがか。
 (3)「一般論としては、噴火の規模によっては、地下からのマグマの供給量が大きく増加すると考えられるところ、地殻変動等の監視を行うことにより、噴火の前兆を捉えることが可能な場合もあると考えられ」と回答しているが、これは噴火の前兆を捉えることができない場合もあると読めるがそれで間違いないか。
 (4)「原子力規制委員会としては、火山影響評価ガイドに不備があるとは考えていない」と回答しているが、火山ガイドが兆候の把握を前提にしていることについて、火山学者から批判の声が上がっているのは承知しているのか。これについてどのような検討を行っているのか。
    火山学者の指摘の例
   我々は巨大噴火を観測したことがない。どのくらいの前兆現象が起きるか誰も知らない。」(火山噴火予知連絡会会長:藤井敏嗣氏/朝日新聞5/8)
   火山影響評価をめぐる原子力規制委員会の基準は、できもしないことをできるかのように定めている。結果的に国民にうそをつくことになりかねない。」(日本大学教授(火山地質学):高橋正樹氏/南日本新聞6/12)
   カルデラ噴火に至る時間的プロセスもわかっていない。それなのに大規模噴火の前兆を捉えられるという話にすり替わった」「規制委が要請すべきは、燃料を運び出す余裕をもってカルデラ噴火を予測できるモニタリングのはず。それは無理だと規制委にコメントしたが、全然通じていない。」(東大地震研究所教授:中田節也氏/南日本新聞6/12)
 (5)「ご指摘の片山審議官の発言は、事業者が火山活動のモニタリングを実施する段階で火山活動の活性化の兆候が見られた場合に事業者による火山活動のモニタリング結果の妥当性を原子力規制委員会が判断する際の基準について、新規制基準に係る適合性審査とは別に、火山に関する専門家を交えて検討を行っていく必要があるとの趣旨を述べたものである。」との回答について
   ①原子力規制委員会が判断する際の基準を専門家会合で決めるということか。
   ②原子力規制委員会が判断する際の基準がなければ、事業者が兆候を把握した場合の判断基準の妥当性について審査ができないと考えるが如何か。
   ③専門家を交えての検討は、審査書を確定させる前に実施すべきではないか。
4.田中委員長が「規制委・規制庁がリードする」としたカルデラ噴火の調査について
 (1)いつどのように実施するのか。
 (2)調査には専門家は加わるのか。
 (3)調査は、審査書を確定させる前に実施すべきではないか。
以上