福島原発では建屋地下から汚染水が流れ込んでいる地下のトンネルで、汚染水を凍らせて氷の壁を作り止水する工事が進められていますが、2か月以上たった現在も十分に凍っていない※ことから、原子力規制委は東電に対し、確実に凍らせる具体的な対策を今月中に示すよう求めました。
※ 2014年6月18日 トレンチの水凍らず 凍結壁は無用の長物にならないか
この箇所の凍結は、凍土壁工事全体の成否に係わる問題を含んでいる上に、他の箇所でも確実に凍らせることが出来るのか疑問が出されています。
汚染水対策の切り札として世界的に注目されているなか、国の費用を320億円も投じて行う工事が、その成否が不明のままで進められるなどということは許されません。
規制委の要求は極めて当然のことです。
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汚染水十分に凍らず 具体的対策求める
NHK NEWS WEB 2014年7月7日
東京電力福島第一原子力発電所では汚染水が流れ込んでいる地下のトンネルで汚染水を凍らせて氷の壁を作り止水する工事が進められていますが、2か月たった現在も十分に凍っていないことから、原子力規制委員会は東京電力に対し、確実に凍らせる具体的な対策を今月中に示すよう求めました。
福島第一原発では、高濃度の汚染水が建屋から「トレンチ」と呼ばれる地下のトンネルに流れ込み、ここから地下水に混ざって海に流れ出しているとみられています。このため東京電力は、ことし4月から2号機のトレンチの入り口に冷却用の配管を打ち込んで1か月程度で汚染水を凍らせ、氷の壁でふたをしたうえで汚染水を抜き取る計画でしたが、2か月たった現在も十分に凍っていません。
この問題が原子力規制委員会の専門家の会合で取り上げられ、東京電力は、トレンチ内に汚染水の流れがあることが原因とみられるとしたうえで、対策を行うために汚染水の抜き取りを10月まで3か月延期すると説明しました。しかし、汚染水は1分間に2ミリ程度しか動いていないことから、規制委員会は東京電力に対し、確実に凍らせる具体的な対策を今月中に示すよう求めました。
福島第一原発ではこれとは別に、建屋などへの地下水の流入を防ぐため1号機から4号機の周りの地盤を1.5キロにわたって凍らせる「凍土壁」の建設が進められています。このため委員からは「凍土壁も同じような問題を抱えているのではないか」と厳しく指摘されていたほか、凍土壁はトレンチを横切るように設けられることから、建設への影響を懸念する声も上がっています。