原子力規制委は九州電力川内原発1、2号機について、早ければ9日にも事実上の合格証となる「審査書案」を提示する方針を固めました。川内原発は新しい規制基準のもとでの合格第1号になります。
原発の再稼動賛成派の産経新聞は、その後の諸手続きを踏むと再稼働は10月にずれ込む可能性があると報じていますが、そんな風に自動的に進むべきものではありません。。
そもそも規制委は、当初から、原発の安全審査は行うものの再稼動を判断する機関ではないと主張し、その判断は政府等が行うべきであるとしてきました。
一方政府はそれに対して、「世界一厳しい基準」に合致した原発を再稼動させないということはあり得ないという立場です。
そのギャップの中で取り残されてしまうのが、実効性のある避難計画という条件です。
川内原発の場合は、さらに火砕流の問題と1号機の高経年化技術評価が加わります。それらは当然規制委の所掌なので、それらをどう判断するのかが注目されます。
いずれにしても、避難弱者の避難計画も立案できない中での再稼動などはあってはならないことで、もしもそんな方向に向かうのであればそれは国家による犯罪です。
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川内原発に9日にも“合格証” 原子力規制委 再稼働は10月にずれ込みか
産経新聞 2014年7月3日
再稼働に向けた安全審査が進む九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)について、原子力規制委員会が早ければ9日にも事実上の合格証となる「審査書案」を提示する方針を固めたことが2日、分かった。計12原発19基の安全審査の申請が出ているが、川内原発は新しい規制基準のもとでの合格第1号になる。今後は意見公募(パブリックコメント)などを経て審査書を確定、さらに地元の同意を得る必要があり、再稼働は10月にずれ込む可能性がある。
九電は昨年7月、新規制基準の施行と同時に審査を申請。規制委はこれまで、川内原発だけでも約60回の公開審査会合を開き、昨年9月と今年4月に2度の現地調査を実施した。
審査書案は新規制基準に適合しているかを基準項目ごとに記載する。これまでの審査会合で議論になった課題を中心に、規制委の新基準適合性への判定理由が書き込まれる。
川内原発で特に大きな課題となったのは、想定される地震の最大の揺れを示す「基準地震動」。九電は当初540ガルで申請したが、規制委の指摘に従い、2回にわたり修正し、620ガルに落ち着いた。
想定される基準津波も従来の3・7メートルから5メートルに変更した。
ただ、合格の見通しが立ったのは、原発の基本設計や方針を見る「設置変更許可申請」と呼ばれるものであり、そのほか、機器類の詳細を確認する「工事計画認可申請」と、運転管理体制をみる「保安規定変更認可申請」の審査が残っており、すべて終えるのは8月以降になる。
その後、鹿児島県や薩摩川内市など地元自治体の同意が焦点となるほか、原発の機器を検査する「使用前検査」が控える。使用前検査も1~2カ月程度かかるとみられる。