福島原発事故の被災者約2600人による「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟の第7回口頭弁論が15日、福島地裁で開かれ、これまで津波の試算報告書について、「資料が現存せず確認できない」としていた国側は一転、「電力会社から提出された資料があった」と試算報告書の存在を認めました。
国側が提出した資料は1997(平成9)年に電力会社が国に提出したもので、津波の試算高さは9.5メートルとされ、「冷却水取水ポンプモーターのレベルを超える数値で、余裕のない状況」と記載してありました。
問題の資料の存在は国会事故調の報告書が明らかにしていますが、5月20日に開かれた第6回口頭弁論で原告の弁護士が提出を求めたのに対して、被告の国側弁護士は「現存しない」と提出を拒みました。
裁判長が「資料が現存しないとの根拠を明らかにするように」と述べたのにも、国側弁護士は「それが必要だと思いますか。なぜ必要かわからない」などと首をかしげたのに対して、更に「根拠が明らかにならないと、(現存しないという国の)主張が正しいものかわからないからです」と、裁判長がたしなめたという経緯がありました※。
※ 2014年6月26日 福島第一原発は6mの津波で冷却機能に
支障 国と東電は予見していた
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第1原発・津波試算「資料あった」 国一転、存在認める
福島民友ニュース 2014年7月16日
東京電力福島第1原発事故で県内外の被災者約2600人が国と東電に原状回復や慰謝料を求めた「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟の第7回口頭弁論は15日、福島地裁(潮見直之裁判長)で開かれた。争点の「国と東電が第1原発の全交流電源喪失をもたらす津波を予見できたかどうか」の証拠になり得る津波の試算報告書について、「資料が現存せず確認できない」としていた国側は一転、「電力会社から提出された資料があった」と試算報告書の存在を認めた。
国側が提出した資料は1997(平成9)年に電力会社が国に提出したとみられるもので、試算された第1原発の津波の高さは敷地高10メートルに近い9.5メートルとされ、「冷却水取水ポンプモーターのレベルを超える数値で、余裕のない状況」と記載。次回は9月16日午後3時から口頭弁論を行う。