福島原発事故で、福島県から埼玉県などに避難している6世帯16人が、国と東電に計約2億3千百万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が、18日、さいたま地裁であり、原告は、「今回の事故は国と東電の怠慢によって引き起こされた。裁判所は国と東電が果たすべきであった責任を検証し、その責任が果たされたのかどうかを明らかにしてほしい」と求めました。
国と東電はこの日、請求の棄却を求める答弁書を提出しました。
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福島原発事故の損害賠償訴訟 「故郷での日常奪われた」
東京新聞 2014年6月19日
東京電力福島第一原発事故の影響で、福島県から埼玉県などに避難している六世帯十六人が、国と東電に計約二億三千百万円の損害賠償を求めた訴訟の第一回口頭弁論が十八日、さいたま地裁(脇由紀裁判長)であった。福島県浪江町からさいたま市に避難している原告の男性(63)が意見陳述に立ち、「国や東電が十分に責任を取っていないことが悔しい」と訴えた。 (増田紗苗)
男性は、妻と義母の三人でさいたま市見沼区に避難をしてきた。意見陳述では、山菜採りや海岸での散歩を楽しんでいた事故前の日常生活を振り返り、「原発事故で何げない日常が一瞬にしてめちゃくちゃにされ、(浪江町での)生きがいを奪われた」と主張。国や東電に対しては、「避難者の生活を事故以前の状態に戻す責任があるのは当然だ」と述べた。
原告代理人の弁護士も意見陳述し、「今回の事故は国と東電の怠慢によって引き起こされた。裁判所は国と東電が果たすべきであった責任を検証し、その責任が果たされたのかどうかを明らかにしてほしい」と求めた。
原告側は訴状で、原発事故前に国は原発への規制を怠るなどし、東電は炉心損傷を引き起こすような重大事故への対策を怠ったと指摘。事故で失った自宅や土地の賠償(一世帯当たり一千万円)と、住み慣れた土地から引き離された精神的苦痛に対する慰謝料(一人当たり一千万円)の支払いを求めている。
原告弁護団によると、国と東電はこの日、請求の棄却を求める答弁書を提出した。
「責任認めず再稼働推進」 原告ら国など批判
東京新聞 2014年6月19日
「国や東電は事故の責任をはっきり認めようとしていない。なのに原発の再稼働は、進めようとしている。このままでは事故がまた起きかねない」。原告と弁護団は第一回口頭弁論後、さいたま市浦和区の埼玉弁護士会館で支援者への報告会を開き、国や東電の態度を厳しく批判した。
報告会には、原告三人と弁護団、支援者約六十人が出席。弁護団が裁判の経過を説明した後、原告らが裁判にかける思いを語った。
原告の浪江町出身の男性(63)は「原発がなければ避難する必要はなく、避難に伴って亡くなる人もいなかった。国や東電は責任をしっかりと認めてほしい。それが次の事故を防ぐ歯止めになる」と訴えた。
別の原告で福島県富岡町出身の男性(50)は「事故から三年以上もたっているのに、国や東電は責任や賠償について、いまだにはっきりさせない」と指摘。「今のままでは仕事や家のことなどが決まらず、私たち自身が前に進むことができない」と話した。 (岡本太)