2014年6月13日金曜日

中間貯蔵施設説明会で渦巻く住民の不信

 中間貯蔵施設」は、福島第1原発事故で発生した除染土や焼却灰などを最長30年間仮置き保管するものです。
 環境省は、候補地の福島県大熊、双葉両町の町民を対象に、これまで11回説明会を行ってきました(予定は全部で16回)が、説明内容に具体性が乏しい上まだ検討中の事項も多く、参加者からは不満と不信感が噴出しています
 
 補償額の明示を求める声も勿論上がっています
 環境省は「今現在の土地の価格で算定する」としていますが、ある男性は「最低でも事故前の価値で評価すべきだ」としています
 交付金についても未定です。
 
 大熊、双葉両町長は「このままでは、受け入れの是非の判断に入らない」と態度を硬化させているということです
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中間貯蔵、渦巻く不信 福島・大熊、双葉住民説明会
河北新報 2014年6月12日
 福島第1原発事故で発生した除染廃棄物などを保管する中間貯蔵施設の建設を求め、環境省が候補地の福島県大熊、双葉両町の町民を対象に開いている説明会は、予定する16回のうち11回が終了した。担当者は「除染と復興の推進に向け、必要不可欠な施設だ」と頭を下げ続けるが、説明内容に具体性が乏しい上、検討事項も多く、参加者からは不満と不信感が噴出する。大熊、双葉両町長は「このままでは、受け入れの是非の判断に入らない」と態度を硬化させている。(会津若松支局・阿部信男、いわき支局・古田耕一)
 
<「虫よすぎる」>
 説明会初日の5月31日、茨城県日立市の会場で大熊町の門馬好春さん(57)は国側に迫った。
 「検討する、検討するが非常に多い。この内容で信用しろというのは虫がよすぎる」
 環境省は説明会を「施設を理解してもらい、町民の意見を聞く貴重な場」と位置づける。その説明には、施設に反対の人だけでなく、賛成や中立の人にも不満が渦巻く。
溝は埋まらず
 「具体的な額を示せ」「みんなが納得できる額で解決するしかない」。各会場で目立つのは補償額の明示を求める声だ。
 環境省は「復旧を見込み、将来使えるようになる土地の今現在の価格で算定する」方針を示すものの、具体額は「建設の同意を得てから、地権者と個別交渉する」の一点張り。町民は「それでは判断できない」と批判し、溝が埋まらない。
 昨年10月の復興庁の意向調査では大熊町民の67%、双葉町民の64%が、放射線量などを理由に帰還しないと答えた。帰還を諦めた住民、迷う人いずれにとっても、補償額は大きな関心事だ。
 同意を得てから補償額を示す手法について「ダムなどの用地買収と同じ手順」と国は説明する。ただ、帰還困難区域の土地には相場観がない。大熊町の男性は「最低でも事故前の価値で評価すべきだ。条件闘争になる」と語る。
 
<交付金も不明>
 大熊、双葉両町は5月1日、環境省が土地の賃貸借も検討し、自由度の高い交付金を創設するといった対応策を表明したことを受け、説明会開催を了承した経緯がある。説明会では、賃貸借は依然として「検討する」と述べるのみで、交付金の内容も不明のままだ。
 福島市の会場で、双葉町の男性は「30年後に運び出すなら、賃貸でいいはずだ」とただした。環境省は「民法で貸借契約は20年まで。契約更新時に貸してもらえないと困る」と検討が難航していることを示唆した。
 交付金も「古里の結びつきを保つ事業や風評被害対策などが考えられる」との説明だけで、検討の域を脱していない。
 白河市での説明会に参加した大熊町の男性教員(43)は「廃棄物を運ぶ場所はほかにないとも思うが、今の説明では判断できない。もっと説明会を重ね、不透明な部分を明らかにすべきだ」と注文を付ける。
 
[中間貯蔵施設]
   福島県内の除染で発生した汚染土や廃棄物の焼却灰を、最長30年間保管する。保管する汚染土などは1600万~2200万立方メートル(東京ドームの13~18倍)。候補地は双葉、大熊両町の福島第1原発に隣接する土地の16平方キロ。13年12月に国が福島県と双葉、大熊、楢葉の3町に受け入れを求めた。県は楢葉を除く2町集約を申し入れ、国が了承した。住民説明会は4月に国が開催を要請。15日の郡山市、仙台市まで計16回開かれる。