東京電力は24日、福島第1原発のタービン建屋東側(海側)で、地中約20メートルの下部透水層の地下水に、放射性物質のトリチウムによる汚染が拡大していると発表しました。
1~2号機の海側に掘った深い井戸で、5月以降に採取した地下水から1リットル当たり最大4700ベクレル、また3~4号機海側の井戸の地下水でも最大480ベクレルのトリチウムが検出されました。
福島第1原発の地下は、上部透水層と下部透水層の間に難透水層があるため、汚染物質は下部透水層には拡散しないというのがこれまでの説明でした。それが昨年12月に、福島原発4号機海側の深い地層の地下水(地下25メートル)からも放射性物質が検出されて、問題視されました※。(そのときはトリチウム780ベクレル/L)
※ 2013年12月22日 「福島原発地下の下段透水層も放射能汚染」
これにより、建屋の周囲の地層を凍らせる汚染水対策「凍土遮水壁」の工事は、掘削時に汚染拡大を防ぐ措置が増えるため、工程が遅れる可能性があるということですが、これは当初から分かっていたことなので、着工を確認したのちにタイミングをみて発表したものと思われます。
工程もさることながら、現行の地下30メートルまでの凍土壁という仕様で、その下端が下部透水層を突き抜けて難透水層に達しているのかについて確認しているのでしょうか。
参考までに 2013年12月22日の記事の「地層の概念図」を下に示します。
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福島第1、海側の深層に汚染拡大 凍土壁の工事に遅れも
東京新聞 2014年6月24日
東京電力は24日、福島第1原発のタービン建屋東側(海側)で、深い地層(下部透水層、地中約20メートル)の地下水に、放射性物質のトリチウムによる汚染が拡大していると発表した。建屋の周囲の地層を凍らせる汚染水対策「凍土遮水壁」は、掘削時に汚染拡大を防ぐ措置が増えるため、工事が遅れる可能性がある。
東電によると、1~2号機の海側に掘った深い井戸で、5月以降に採取した地下水から1リットル当たり最大4700ベクレルのトリチウムが検出された。また3~4号機海側の井戸の地下水でも最大480ベクレルが検出された。(共同)
深い地下水の層に汚染水 防止工事急ぐ
NHK NEWS WEB 2014年6月25日
東京電力福島第一原子力発電所で、汚染水が深い地下水の層に広がりやすい状況になっていることが分かり、東京電力はこの深い層を通じて汚染水が海に流出するのを防ぐ工事を急ぐことにしています。
福島第一原発では今月4日、1号機の海側の井戸の水から1リットル当たり4700ベクレルのトリチウムが検出されるなど、「下部透水層」と呼ばれる深さ25メートル余りの層で地下水の汚染が明らかになっています。
東京電力が詳しく調べたところ、この「下部透水層」の水圧が、浅い地下水の層より低くなっていて、汚染水が広がりやすい状況になっていることが分かりました。
「下部透水層」の水圧が低くなった原因について、東京電力は、同じ25メートル余りの深さまで掘削が行われる、護岸沿いの海側遮水壁と呼ばれる壁の建設工事が影響している可能性があるとしています。
汚染水は「下部透水層」を通じて海に流出しているおそれがあるため、東京電力はことし秋を予定している海側遮水壁の完成を急ぐことにしています。
さらに、建屋周辺に作る凍土壁の工事では、深さ30メートルまで凍結管を埋める穴を掘るため、この工事によって「下部透水層」に汚染が広がらないよう、穴の内側の壁に水止めのカバーをすることにしてます。