2014年6月21日土曜日

中間貯蔵施設どう対応 福島・双葉、大熊両町長インタビュー

 
 中間貯蔵施設の設置に関して石原環境相の心ない発言が波紋を呼んでいますが、
説明会が終了したのを機に、河北新報が、施設の設置が予定されている町の町長二人にインタビューをしました。
 
 両町長とも、住民たちが知りたいことについて国が回答しないのは不誠実であるとし、町民にもっと寄り添うべきであるとしました。
 補償額についても、個々に回答するのは困難であるにしても、原子力損害賠償紛争審査会(ADR)は土地建物の賠償基準を出しているのだから、補償額のモデルを示すことはできたのではないかと述べました。
 
 それなのに自分たちの都合だけを優先させて、一貫して無回答に終始したのは納得ができません。いずれにしても住民の理解が得られなければ、中間貯蔵施設の問題は前進しません。
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中間貯蔵施設どう対応 福島・双葉、大熊両町長インタビュー
 河北新報 2014年6月20日 
 福島第1原発事故で発生した除染廃棄物などを保管する中間貯蔵施設の設置に関する住民説明会が終了し、焦点は候補地の福島県双葉、大熊両町と県の対応に移る。説明会で出された意見をどう受け止め、生かしていくのか。伊沢史朗双葉町長と渡辺利綱大熊町長に、それぞれ今後の見通しを聞いた。
 
◎まず疑問への回答を/渡辺利綱・大熊町長
 -国の説明をどう受け止めたか。
 「計画区域内の補償額が示されなかった。個別交渉で補償額が違うのは当然だが、目安や平均額が出ないと判断材料にならない。自由度の高い交付金、区域外の町民への生活支援、最終処分場確保についても『検討する』の答えばかりだった」
 -町民の反応をどう見るか。
 「先祖伝来の土地を失うということで反対の声が目立った。一方で、やむを得ないと消極的賛成の人も多かった。説明会でかえって不信感が募り、マイナスになった面もある」
 -今後の進め方と、受け入れ可否の判断は。
 「このままで町民の理解は得られない。説明会で出た町民の疑問にまず国が回答すべきだ。その上で再度、住民説明会を開くことも選択肢の一つになる。町の意思決定に住民投票はなじまない。町議会としっかり協議していくことになる」
 -中間貯蔵施設自体の評価は。
 「東京の電力を供給していたのだから東京に持って行けと言いたくなるが、現実的には厳しい。復興のため、町内も除染が必要で重要な施設だ。ただ、中間貯蔵施設ができないと困るのは福島県だという高飛車な態度では町民も納得できない。最後は責任のある政治家が、熱意を示さないと合意は難しい」
(聞き手は会津若松支局・阿部信男)
 
◎国の都合に合わせぬ/伊沢史朗・双葉町長
 -説明会が終了した。
 「国は住民の知りたいことに真摯(しんし)に答えるべきなのに、具体的な回答をしなかった。残念だ。町が地域振興策として求めた自由度の高い交付金も、規模すら分からない。住民も町も受け入れの是非を判断する材料がないのが現状だ」
 -住民からは土地・建物の補償額明示や、地権者以外の生活再建策を求める声が多く出された。
 「原子力損害賠償紛争審査会は土地建物の賠償基準を出した。今回も補償額のモデルを示すことはできたのではないか。自分たちに非がない以上、原発事故前の価格は補償すべきだとの声も多い。住民の要望として国と交渉していく」
 「施設ができた場合、近くの人が住めなくなる場合もある。施策が必要だ。中間貯蔵施設は国内初の特殊な施設。補償にしても、地権者以外の生活支援にしても、従来の公共事業にとらわれない特殊な対応が必要だ。国はエネルギー政策の犠牲になった住民にもっと寄り添ってほしい」
 -今後の対応は。
 「国が説明会で出た質問や意見に回答を示すのが第一歩だ。内容を見て次のことを検討する。中間貯蔵施設の設置は住民の理解が大前提。住民が納得する回答でなければ前に進まない。国は来年1月の搬入開始を目指しているが国の都合に合わせるつもりは一切ない」
(聞き手はいわき支局・古田耕一)