2014年6月24日火曜日

川内・玄海原発 30キロ圏外も高放射線量

 民間調査会社の調査で、九州電力川内原発(鹿児島県)と玄海原発(佐賀県)で過酷事故が起きた場合高線量の放射性物質が原発から半径30キロ圏外にも飛散する可能性があることが分かりました。
 汚染量の推定は周囲の山や谷などの地形を考慮したもので先に原子力規制庁が公表したものより正確な試算になっているということです
 
 川内原発から30キロ超の鹿児島市内でも、風向きによっては最大24マイクロシーベルトに達するので、現在、約5万7千人が鹿児島市を避難先としているのを根本的に考え直す必要があります。
 また西風が吹けば、玄海原発の放射性プルーム(放射性雲)福岡市にも流れて、
その濃度は最大56マイクロシーベルト西区内)に達します。
 
 国などは行政側に不利な情報はなるべく流さないようにするので、民間会社がこうした情報を公表するのは極めて有益なことです。先ずは自治体で策定している避難計画に、こうした情報を反映させることが必要です。
 もしも避難計画の対象範囲をそこまで拡大するのは無理ということであれば、そもそも再稼動を志向することなど許されないということになります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
30キロ圏外も高放射線量 鹿児島市も「避難必要」
西日本新聞 2014年6月23日
 
 同研究所は福島原発事故後、最も放射性物質の飛散が多かった2011年3月15日の福島県飯舘村や福島市などの放射性セシウム、ヨウ素の観測データから飛散総量を推定。推定した放射性物質の飛散総量が放射性プルーム(放射性雲)となって移動し、降雨で九州各地に落下した場合の、1時間平均の空間線量率をレベル別に地図に示した。原子力規制庁が12年に公表したのと違い、山や谷などの地形を考慮し、より正確な試算になっているという。
 
 それによると、原発周辺で軒並み高線量を算出。風速毎秒2メートル(市街地で日常的に吹いている風)で西南西の風が吹いた場合、川内原発から東に約6キロの医療機関では事故直後、1時間当たり294マイクロシーベルト。国が1週間以内の避難を求める基準値(同20マイクロシーベルト)の15倍に相当する高い値だ。
 
 原発周辺で年30日程度観測される北西の風だと、原発から30キロ超の鹿児島市内でも最大24マイクロシーベルトに達した。薩摩川内市、いちき串木野市などの約5万7千人が鹿児島市を避難先に指定されているが、風向き次第で避難が困難となる可能性がある。
 
 玄海原発では、北風が吹けばプルームが30キロ圏の佐賀県伊万里市を越え、約31キロの同県有田町に達し、同町内で線量は43マイクロシーベルトに上る場所があった。
 西風は年間を通じ少ないものの、建物などがない海上を通ると飛散距離が伸び、福岡市にまで到達。線量は西区内では最大56マイクロシーベルト、早良区32マイクロシーベルト、城南区30マイクロシーベルト、南区29マイクロシーベルトに達した。
 
 UPZ内ではない有田町は今のところ、避難計画を独自に策定する予定はない。福岡市は「30キロを越える自治体がどうすべきか、国は早く指針を示してほしい」(防災・危機管理課)と強調する。原子力規制庁は、プルーム通過時の被ばくを避けるための防護措置地域(PPA)をおおむね50キロ圏内とする考えは示しているが、「具体的な対策は今後の検討課題」としている。
 
30キロ圏外も高放射線量 鹿児島市も「避難必要」

30キロ圏外も高放射線量 鹿児島市も「避難必要」