2014年6月20日金曜日

チェルノブイリとフクシマの今後を衛星で観察

 東京大作った超小型衛星が、ウクライナ製ロケット「ドニエプル」20日未明に打ち上げられます。
 
 日本ウクライナ共同プロジェクト打ち上げられるこの衛星で、福島原発と1986年のウクライナ・チェルノブイリ原発における事故による周辺地域の環境変化を同時に観測します。
 光学カメラで両原発周辺を定期的に撮影したり、地上設置の観測機器の情報を受信したりしながら、植生分布など環境の経年変化を調査し、ウクライナからはチェルノブイリ原発事故現場周辺の環境変化などのデータ提供も受けます
 
 このほか洪水対策として各国河川の水位変化の観測も行い、日本やベトナム、タイ、バングラデシュなど二十二カ国がこのデータを利用する見通しということです
~~~~~~~~~~~~~~~
チェルノブイリとフクシマ 原発事故に衛星の目
東京新聞 2014年6月19日
 日本とウクライナが共同プロジェクトとして日本時間二十日未明、超小型衛星二基をウクライナ製ロケット「ドニエプル」に搭載し、ロシア・ウラル地方のヤースヌイ基地から打ち上げる。衛星は東京電力福島第一原発と、一九八六年のウクライナ・チェルノブイリ原発における事故による周辺地域の環境変化を同時に観測する。
 
 超小型衛星は東京大が、ロケットはロシアとウクライナが出資した企業コスモトラス(本社モスクワ)が運用。東大によると、衛星は一基当たり三億円以下の低コストで開発した。プロジェクトは今後、低予算での宇宙開発を可能にする「重要な一歩」となる。
 昨年中に打ち上げられる予定だったが、大幅に遅れていた。ウクライナの関係者は「ロシアとの関係悪化が影響したのではと心配していたが(打ち上げが決まり)ほっとした」と述べた。衛星開発を主導した中須賀真一・東大教授は「遅れはスケジュール調整。政治的理由ではない」と説明している。
 
 打ち上げられる衛星は「ほどよし3号」と「ほどよし4号」。3号は縦横五十センチ、高さは七十センチ、重さ五六・五キロ。4号はそれよりやや大きく、六三・七キロ。それぞれ光学カメラで両原発周辺を定期的に撮影したり、地上設置の観測機器の情報を受信したりしながら、植生分布など環境の経年変化を調査。ウクライナからはチェルノブイリ原発事故現場周辺の環境変化などのデータ提供も受ける。
 中須賀教授によると、原発事故関連のほか、洪水対策として各国河川の水位変化の観測も実施。日本やベトナム、タイ、バングラデシュなど二十二カ国がこのデータを利用する見通しだ。
 
 ドニエプルは大陸間弾道ミサイルとして開発後、民生用に転換。今回は「ほどよし3号」などを含め、世界十七カ国の計三十三基の小型・超小型衛星を共に打ち上げる。一機のロケットとしては過去最多の衛星を同時に打ち上げることになる。日本とウクライナは二〇一二年、原発事故への対応で協力する二国間協定を締結、衛星による観測プロジェクトを進めていた。 (共同)