福島原発の汚染水対策「地下水バイパス計画」は21日で、開始してから1カ月が経過しました。
しかし、1~4号機建屋に1日約400トン流入する地下水量を100トン程度減らせるとの見込みで始まったものの、現時点で建屋周辺の地下水の水位にほとんど変動はなく、効果は見通せません。
地震によって建屋に出来た間隙の総面積は一定なので、建屋内の水位と周囲の地下水位とのレベル差が縮まらないと流入量は減少しません。当初は、地下水の上流側で水を汲み上げれば建屋周辺の地下に流れ込む量が減り、その分地下水位が下がると見られていました。
東電は「効果は1カ月では分からず、数カ月程度はかかる」と説明しています。
「地下水バイパス計画」は、いま進めている「凍土遮水壁」と並んで汚染水発生量を減らす切り札に位置づけられているものなので、当初の狙い通りの効果が発揮されないとなると重大問題です。
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地下水位の変動なく 海洋放出1カ月、効果見通せず
福島民友ニュース 2014年6月22日
東京電力福島第1原発事故の汚染水対策「地下水バイパス計画」は21日、1~4号機建屋に流れ込む前にくみ上げた地下水の海洋放出が始まってから1カ月が経過した。これまでの6回にわたる放出量は計約6800トンに上る。ただ、1~4号機建屋に1日約400トン流入する地下水量を100トン程度減らせるとの触れ込みで始まったものの、現時点で建屋周辺の地下水の水位にほとんど変動はなく、効果は見通せない状況だ。
地下水バイパスは、1~4号機建屋の周囲の地中を凍らせる「凍土遮水壁」、汚染水から62種類の放射性物質を除去できる「多核種除去設備(ALPS)」とともに国、東電が汚染水問題の抜本策に位置付けている。しかし、建屋に向けて流れる地下水の速度は非常に遅い上、専用井戸は建屋から100~400メートルも山側に離れているため即効性に課題が残る。東電は「効果は1カ月では分からず、数カ月程度はかかる」と説明している。
地下水バイパスの効果を早急に上げるためには、建屋により近い場所に井戸を設置すべきとの指摘もあるが、東電は「建屋周辺の地中には配管などが相当数埋設されており、現行の場所が井戸を掘れるぎりぎりの位置」としている。