2014年6月14日土曜日

原発事故確率論の復活か?

 電気事業連合会(電事連)と電力中央研究所(電中研)は13日、原子力発電所事故の危険性を研究する「原子力リスク研究センター」を9月までに設置すると発表しました。
 原発ごとに事故の確率を数値で示す手法などを取り入れ、センターと電力各社、原発メーカー力を合わせ、1~2年がかりで各原発のリスクを評価するということです
 
 真に学問的厳格さをもって原発のリスクを研究するのであれば、それはそれなりの意味はありそうですが、所員に電力会社からの出向者も含まれると聞くと、どうもそういうものではなさそうです。
 
 問題はアウトプットされる確率の値ですが、またぞろ「1万年に1回」とか「10万年に1回」などという数値を出すようでは、もはや何処からも信用されないでしょう。
 スリーマイル島事故、チェルノブイリ事故、福島事故を体験した現在、原発の重大事故が起きる頻度は、世界的規模では20年(以下)に1回くらいというのが通説です。もしもそれに合致しない結果であれば、それはどこかの仮定(+過程)に間違いがあるということになります。
 
 原発事故の確率といえば、かつて「格納容器の破損事故の確率は1億年に1回」と豪語した東大教授がいました。彼は原発訴訟の政府側参考人としても活躍した人で、プルトニウムは飲んでも大丈夫とも豪語しました。
 
 そういういかがわしさの伴わないものであって欲しいものです。
 
   ※ 大橋弘忠氏 彼の発言は現在でもユーチューブで見ることが出来ます。
      「大橋弘忠 1億年に1回」などで検索すると見つかります。
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原発の事故率を数値化 リスク研究センター設置へ
産経新聞 2014年6月13日
 電気事業連合会(電事連)と電力中央研究所(電中研)は13日、原子力発電所事故の危険性を研究する「原子力リスク研究センター」を9月までに設置すると発表した。原発ごとに事故の確率を数値で示す手法などを取り入れ、原子力規制委員会の新規制基準に上乗せして安全性を高める。原発事故を前提とした電力業界の研究組織は初めてで、電力業界自ら原発の「安全神話」に決別宣言した形だ。(藤原章裕)
 
 センターと電力各社、原発メーカーは力を合わせ、1~2年がかりで各原発のリスクを評価する。
 「確率論的リスク評価(PRA)」と呼ぶ米国流の手法を導入し、地震や津波、火山噴火、竜巻などで重大事故に見舞われる確率を数値で示す。炉心損傷事故の発生確率、原子炉の格納容器から大量の放射性物質が放出される確率などについて、「1万年に1回」「10万年に1回」などと算出する。
 センターでは、沸騰水型軽水炉(BWR)と加圧水型軽水炉(PWR)の原子炉別、太平洋側と日本海側の立地別など複数パターンの安全対策指針を作成し、電力各社に提言する。
 電力各社はセンターの指針に基づき、各原発の安全対策を作り、実施する。センターは電力各社の実施状況を確認し、必要に応じて技術支援にも乗り出す。
 福島第1原発事故前、電力各社は、原発の「絶対安全」を掲げてきたため、事故リスクの数値化はタブー視されてきた。
 しかし、電中研の横山速一常務理事は「新規制基準をクリアすれば絶対安全という意識はダメ。想定外の事故リスクを客観的に算出し、対策を検討する必要がある」と説明した。
 甚大事故ほど発生確率は低くなるので、電力各社は、原発の安全対策工事にどこまでお金をかけるべきか、「費用対効果」もはかりやすくなるという。
 センターは東京都千代田区の電中研大手町地区に開設し、約100人の人員でスタートする。電力各社と情報交換しやすくするため、一部人員は各社から出向する。
 また、同センターが日本側の窓口となり、日米両政府で原発事故のリスク評価の統一基準づくりに乗り出す。
 電事連の八木誠会長(関西電力社長)は13日の記者会見で、「原子力リスクを経営の最重要課題と位置づける」と語り、安全神話からの脱却を誓った。