福島原発事故のため避難生活を送っている浪江町の町民約1万5千人が、慰謝料の増額を求めたのに対して、原子力損害賠償紛争解決センターが提示した「一律月五万円」を増額する和解案を、東電は拒否しました。
東電は批判を受けると和解案の尊重を口にしますが、負担の大きい和解案は拒否するという姿勢は変わりません。
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東電、一律5万円増拒否 浪江町民慰謝料の和解案
東京新聞 2014年6月26日
東京電力福島第一原発事故による避難が続く福島県浪江町の町民約一万五千人が、慰謝料の増額を求めた裁判外紛争解決手続き(ADR)で、東電は、原子力損害賠償紛争解決センターが提示した「一律月五万円」を増額する和解案を拒否する回答を、センターと町に伝えた。
センターは、一律五万円に加え、七十五歳以上の高齢者にはさらに三万円増額するとの和解案を示していたが、東電は「高齢者で持病のある人」に限定し、月二万円増額すると回答した。
慰謝料は、文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会が示した指針で、月十万円と定められている。東電は二十六日の株主総会で質問を受け、回答の中身には触れずに「多くの方に一律に指針を上回る賠償をすることは、指針の考え方から乖離(かいり)し公平性を欠く」と答えた。
浪江町側は二十五万円増やし一律三十五万円を支払うよう求め、センターが和解案を提示した。町は既に和解案の受け入れを表明している。
<ADR> 原発事故の損害賠償交渉を裁判以外で行う手続き。法律家の仲介委員が、東電との交渉で合意できないケースで和解案を示す。今月25日現在、申立数は1万1992件。審理終了分9047件のうち和解成立は7351件。