茨城県大洗町にある原子力機構の施設で核燃料物質を入れた袋が破裂し作業員が被ばくした事故は、核燃料物質をX線解析をした際に粉末の放射性物質を固めるのに使われたエポキシ樹脂(接着剤)が、26年間保存されている間に放射線で分解されガスが発生した可能性があることがわかりました。
原子力機構はさらに調査を進めています。
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被ばく事故 合成樹脂製の接着剤が放射線で分解 ガス発生か
NHK NEWS WEB 2017年6月22日
茨城県大洗町にある日本原子力研究開発機構の施設で核燃料物質を入れた袋が破裂し作業員が被ばくした事故は、核燃料物質を固めるのに使われていた合成樹脂製の接着剤が放射線で分解されガスが発生したために起きた可能性があることがわかり、原子力機構がさらに調査を進めています。
茨城県大洗町にある日本原子力研究開発機構「大洗研究開発センター」で今月6日に起きた作業員の被ばく事故は、核燃料物質を入れた袋が何らかの原因で破裂し、プルトニウムなどが飛び散ることで起きました。
この袋は26年前に詰められたまま一度も開けられていませんでしたが、原子力機構が、当時、作業にあたった元職員から聞き取りを行った結果、中のプルトニウムなどの核燃料物質は合成樹脂性の接着剤を使って固められていたことがわかりました。
合成樹脂は放射線によって分解されるとガスが発生する性質があり、原子力機構は、袋が破裂したのはこの樹脂製の接着剤が原因だった可能性があると見ています。
一方で、核燃料物質を直接入れていたポリ容器が放射線で分解しガスが発生した可能性も残されていて、原子力機構は来月下旬までに事故の原因を詳しく調べ、国に報告することにしています。
樹脂含む実験試料か=容器の放射性物質-原子力機構
時事通信2017年06月22日
日本原子力研究開発機構の大洗研究開発センター(茨城県大洗町)で作業員5人が被ばくした事故で、原子力機構は22日、点検中に破裂したビニール袋の中には、実験で使ったプルトニウム酸化物など放射性物質の粉末と、粉末をエポキシ樹脂で固めたものが入っていた可能性が高いことを明らかにした。
同日開かれた文部科学省調査チームの会合で説明した。同省によると、エポキシ樹脂の放射線分解でガスが発生する可能性があるという。
文科省などによると、飛散した放射性物質は保管を開始した1991年当時の記録から、X線解析などの実験に使った後の試料と判明した。当時の記録や実験に携わった退職者らからの聞き取りでは、測定の際、粉末の放射性物質をエポキシ樹脂で固めていたという。
測定後、一部は熱処理してエポキシ樹脂を取り除いたが、樹脂を除去しないものもあった。これらが容器に入っていた可能性が高いという。