23日に就任した東電の川村会長や小早川社長など新しい経営陣は26日、就任の挨拶のため福島県の内堀知事を訪ね、その後福島民報のインタビューを受けました。
内堀知事は、「福島県内原発の全基廃炉は県民の強い思い」と述べ第二原発の廃炉を改めて要請しましたが、小早川智明社長は「会社としての重い経営判断になるので、引き続き検討したい」、「国のエネルギー政策全体がどうなるかを含めて総合的に判断する必要がある」」と述べるに留めました。
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「できる限り早く判断」 第二原発廃炉時期は示さず 東電新会長
福島民報 2017年6月27日
23日の株主総会を経て新体制となった東京電力の川村隆会長、小早川智明社長は26日、福島民報社のインタビューに応じ、福島第二原発の廃炉の可否について「できる限り早く判断する」と述べ、早期判断を目指す考えを示した。ただ、具体的な時期は明言しなかった。内堀雅雄知事は同日、川村会長、小早川社長と県庁で会談し、福島第二原発の廃炉を求めた。小早川社長は「引き続き検討する」と述べるにとどめた。
福島第二原発を巡っては、県や県議会などが再三にわたり全基廃炉を求めてきたが、東電は「総合的に勘案して判断する」と存廃に関する言及を避けている。福島民報社はインタビューで、福島第一原発事故から6年3カ月余り過ぎたが、結論を先延ばしにするならば県民の信頼回復は不可能だと指摘した。川村会長は「我々としてはできる限り早く判断をして次に進みたい。あらゆるもの(案件)が延びに延びている状況を一つずつ脱したいと思っている。東京電力の企業文化の問題など含め、一つずつ直して指摘のような方向に持っていきたい」と廃炉可否の検討を急ぐ考えを示した。
また、川村会長は柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働、福島第一原発事故を踏まえた新規制基準への対応などといった経営課題に触れ、「(経営上の)変数が多くなり、経営判断がすぐに決められなくなっている。福島第二に関してはもう少し待ってもらえれば我々の結論を出せると思う」と述べたが具体的な時期は提示しなかった。
昨年は福島第一原発事故当時の社長が「炉心溶融という言葉を使うな」と指示していたことが発覚するなど、東電の隠蔽(いんぺい)体質が指摘されてきた。小早川社長に打開策を問うと「うそをつかない、隠さない、忖度(そんたく)しないというのを役員の中できちんと意識付けしていくのが取り組みの端緒だと考える」と話した。
■全基廃炉改めて要請 知事
川村会長、小早川社長と県庁で会談した内堀知事は「県内原発の全基廃炉は県民の強い思いだ」と強調し、福島第二原発の廃炉を改めて要請した。県の東電に対する県内原発全基廃炉の要請は口頭と文書を合わせて今回で18回目となった。
廃炉要請に対して小早川社長は「非常に重く受け止めている。会社としても大きな経営判断になるので、引き続きしっかりと検討していく」として前経営陣と同様の見解を述べた。
川村会長は「我々の原点は福島であることは変わらない。第一原発の廃炉作業や復興事業、それを下支えする財政事情の改善、持続的な成長を新たな体制で進めたい」と抱負を語った。
会談で内堀知事は福島第二原発の廃炉要請の他、福島第一原発の廃炉の着実な進展、原子力損害賠償の迅速・確実な実施を求めた。
会談後、報道陣の取材に応じた川村会長は、記者から廃炉の判断主体を問われ「政府に相談する場面はあると思うが判断は東電が行う」と語った。小早川社長は「国のエネルギー政策全体がどうなるかを含めて総合的に判断する必要がある」と慎重な姿勢を示した。
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小早川社長は27日から前社長の広瀬直己副会長らとともに、福島第一原発が立地し全町避難が続いている双葉、大熊両町と、福島第二原発が立地する富岡、楢葉両町など被災した13市町村の首長と面会する。