デブリ取り出しへ骨子案 第一原発、方針策定の論点整理
福島民報 2017年5月30日
東京電力福島第一原発の廃炉に関する助言を担う原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)は29日、政府が今年夏に決める溶融燃料(燃料デブリ)の取り出し方針の技術的根拠となる「戦略プラン」の骨子案を発表した。1~3号機の燃料デブリの分布状況や技術的な要件などを総合的に評価し、方針決定に向けた提言を取りまとめる。
楢葉町で開いた政府と地元市町村などによる会合で示した。骨子案の概要は【下記】の通り。原子炉内部調査やミュー粒子調査の結果を基に燃料デブリの分布を推定した上で、放射性物質の拡散を防ぐ機能や冷却機能、被ばくリスクなどの技術的観点で「冠水工法」「気中工法」など複数の取り出し手法の特徴を評価するとした。
安全性や確実性、作業の合理性など5つの基本的な考え方に沿って評価する。
NDFの山名元理事長は「どうデブリを回収すれば効率的にリスクを低減できるか見解を示したい」と説明。高木陽介経済産業副大臣は「プランが決まり次第、方針の絞り込みにしっかり取り組みたい。廃炉工程表の見直しも検討する」と述べた。
政府と東電の廃炉工程表では、1~3号機の燃料デブリ取り出し方針は今年夏に決める計画。平成30年度上半期に手法を確定し、33年内にいずれかの号機で取り出しを始めるとしている。
【NDFが示した骨子案】
□1~3号機の状況
・原子炉内部調査、ミュー粒子調査、解析調査の結果を踏まえ、各号機の燃料デブリの分布を推定
□取り出しに必要な技術的な要件
・取り出し時の冷却機能の維持・確保に関する評価
・臨界の発生を防ぐ手法や臨界を検知・停止する手段の検討評価
・原子炉建屋や格納容器の耐震性評価
・取り出しに必要な機器や装置の開発状況
□燃料デブリのリスク
・号機に応じた被ばくリスクの評価
以上を総合的に踏まえ戦略プランを提示する