2017年3月12日日曜日

12- 小泉氏::札幌で原発ゼロ講演 古賀茂明氏:政府は自然エネ発電潰し

 小泉元首相は札幌市で講演し、政府は、原発ゼロに政策を転換すべきだとして「政府は原発を維持したいために、自然エネルギーの推進を妨害している。政府が原発ゼロを決めれば、原発が供給していた分の電力は、10年くらいで自然エネルギーで供給できるようになる」と批判しました。
 
 この電力会社(=政府)による自然エネルギ―発電への妨害は露骨で、東北電力、新たに基幹送電線を作らなければ、東北北部に発電所を新設しても接続できなくなると宣言したということです。送電線の所有者からそういわれれば、風力発電や太陽光発電の開発はストップするしかありません。
 
 また昨年11月に「パリ協定」が発効し批准国の日本は「2050年までに80%の温暖化ガス削減」を目標に掲げているということですが、地球温暖化が炭酸ガスの増加に起因するものかどうかについては異論も多く、まだ確定しているわけではありません。そもそも地球はいま氷河期に向かっているという説もあります(日本だけは特異的に一部地域で夏が暑くなっていますが、それはエルニーニョなどによるもので、地球全体の温度上昇によるものではありません)。
 炭酸ガスの排出抑制のために原発を推進するというのは、環境の汚染を避けるという観点からも本末転倒した考え方です。 
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小泉元首相 原発ゼロに政策転換すべきと批判
NHK NEWS WEB 2017年3月11日
小泉元総理大臣は札幌市で講演し、東京電力福島第一原子力発電所の事故で、「安全対策が不十分だと証明された」と指摘したうえで、政府は、原発ゼロに政策を転換すべきだと批判しました。
この中で小泉氏は、「私は総理大臣の時も原発は必要だと言っていたが、ちょうど6年前のきょう、福島の原発でメルトダウンが起き、本当に原発は安全かと疑問を持つようになった。あの事故は、地震や津波が原因ではなく、人災だった。原発の安全対策が不十分だと証明された」と述べました。
そのうえで小泉氏は、「政府は原発を維持したいために、自然エネルギーの推進を妨害している。政府が原発ゼロを決めれば、原発が供給していた分の電力は、10年くらいで自然エネルギーで供給できるようになる」と述べました。
講演のあと小泉氏は記者団に対し、「事故のあと、政府は原発への依存度をできるだけ下げていくと言っていたのに、維持していく方針に変わってしまい、残念で情けない。原発ゼロは困難ではないのに、なぜ止められないのか不思議でしかたない」と述べました。
 
 
3・11の反省はなし
自然エネルギー潰しによる「原発完全復活」への動きが進行中!
古賀茂明  週プレNews  2017年3月11日
11からちょうど6年。しかし、その反省もなく、原子力ムラが原発を再稼働させようと蠢(うごめ)いているという。
『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏が、原子力ムラの「原発完全復活」への動きに警鐘を鳴らす。
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原子力規制委員会が大飯(おおい)原発(福井県)3、4号機の再稼働に「合格」を与えたのは2月22日のこと。
この決定を受け、関西電力(以下、関電)が気になる動きを見せている。同社の岩根茂樹(いわね・しげき)社長が「大飯3号機、4号機が稼働すれば、燃料費メリット分を(ユーザーに)還元したい」と、電気料金の値下げに意欲を示したのだ。
 
関電は現在、運転差し止めの仮処分を受けている高浜原発(福井県)の3号、4号機の抗告審を争っており、この裁判で「運転適当」との判決が出れば、一気に4基もの原発を動かせることになる。電気料金の値下げ幅もさらに大きくなるだろう。
電力大手10社はこのところの原油価格上昇を受け、今年4月まで3ヵ月連続の電気料金引き上げを決めている。各家庭にとって、その負担は小さくない。
そんな折に、関電が「電気料金を格安にします。安くなったのは原発を再稼働させたおかげです」とキャンペーンを打てば、どうなるだろうか?
アベノミクスの失敗で実質賃金が大幅に落ち込み、庶民の暮らしはいまだ厳しい。電気代が安くなれば、家計が助かったと喜ぶ人がほとんどだろう。…
 
3・11以降、日本国民の半数以上が原発の再稼働に慎重な姿勢を見せてきた。だが、関電の電気料金大幅値下げをきっかけに、全国で原発再稼働を容認するムードが高まるかもしれない。
行政の援護射撃も見逃せない。昨年11月、「パリ協定」が発効した。これは、地球温暖化防止のために196ヵ国・地域が参加する国際協定で、批准国の日本は「2050年までに80%の温暖化ガス削減」を目標に掲げている現在、環境省や経産省が中心となって具体的なCO2の削減プランを策定中だ。
だが、この目標をクリアするのは生易しいことではない。おそらく政府も関西電力と歩調を合わせるように、「目標達成の最後の切り札は、CO2を排出しない原発以外にない」と、再稼働のメリットを大々的にPRしてくるはずだ。
安倍首相は過去、所信表明演説で、「この国の原発依存度を可能な限り下げる」とぶち上げたものだった。しかし、すでに再稼働のお墨付きを得たのは6原発12基に達している。
 
しかもここにきて、原発の代替エネルギーになると期待された自然エネルギーの前途にも暗雲が生じている。東北電力が、新たに基幹送電線を作らなければ、東北北部に発電所を新設しても接続できなくなると宣言したのだ。これで風力発電の開発は、一時ストップの事態となってしまった。
その一方で、東北電力管内である秋田県では、関電による出力130万kWの大規模「石炭」火力発電所の建設が進んでいる
また、停止中の東通(ひがしどおり)原発(青森県)の送電線はがら空きのままだが、これも風力には使わせない。自然エネルギー潰しによる「原発完全復活」への動きが進んでいると見るべきだろう。
つまり、すべてが“原発ありき”なのだ。3・11の反省もなしに、またぞろ原子力ムラが原発を再稼働させようと蠢(うごめ)いている。
電気料金が安くなるのは、国や消費者が事故などの負担を押しつけられているからだ。本当に原発の再稼働を認めてもいいのか? あらためて私たちひとりひとりの見識が問われている。●古賀茂明(こが・しげあき)