福島原発で発がんと提訴 元作業員、労災認定求める
産経新聞 2017年2月28日
東京電力福島第1原発事故の収束作業中に被曝し、3つのがんを併発したとして、札幌市の元作業員の男性(58)が28日、国に労災認定を求めて札幌地裁に提訴した。弁護団によると、福島第1原発事故の収束作業を巡り、労災認定を求める訴訟は全国で初めて。
訴状によると、男性は平成23年7~10月、福島第1原発1~6号機の建屋付近で、重機を使ってがれきを撤去する作業をした。24年6月~25年5月、ぼうこうや胃、結腸に3つのがんを発症。25年8月に福島県の富岡労働基準監督署に労災を申請したが不支給となり、その後の審査請求、再審査請求も棄却された。
男性の作業期間中の公式の累積被曝線量は56.41ミリシーベルトで、労災判断の目安とされる100ミリシーベルトを下回る。弁護側は「100ミリシーベルト未満でも発がんとの関連がないとは医学的に断定できない。ほぼ同時期に3つのがんを発症するのはまれで、被曝が影響していると考えられる」と主張している。