2017年3月3日金曜日

「東芝危機」の原因 米の原発事業で何が

 FNNの記者が東芝危機の原因を探るべく、米子会社の「ウエスチングハウス(WH)」社が2基の原発を建設しているジョージア州の工事現場を取材しました。
 WH社が15年に買収した原発建設会社「S&W」社には、大規模プロジェクトに必要な高度な訓練を受けた技術者が少ないため工事がはかどらず、人件費が嵩んでいる挙句に納期遅延の高額な罰金が課せられる・・・それが大赤字の主要な原因です。
 そんな全く理屈に合わない買収を進めたのは当時のダニー・ロデリックWH社長で、彼に主要な責任があるのは明らかですが、独断専行で知られている彼を東芝本社が制御できなかったのでした。
 
 東芝は、先に会計上の不正が明らかになったときに公認会計士や弁護士を社外取締役に加える改革を行いましたが、この件では何の効果もありませんでした。
 このままではさらに赤字が拡大する可能性があります。これらの工事から手を引くという選択肢はあるものの、その場合には違約金として7~8000億円を支払う必要があるのでそれも決断できないようです。
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「東芝危機」の原因 米の原発事業で何が
FNNニュース 2017年3月2日 
経営危機に直面している東芝は、3月14日にも決算を発表しますが、2月に公表した見通しでは、損失が7,000億円を超えると明らかにしています。その大きな原因が、アメリカでの原発建設です。主力事業の1つとしてきた原子力事業で、何が起きているのか。原発建設地の1つ、ジョージア州で、その原因を探りました。
 
アメリカ南部、。
ここでは、東芝が2006年に買収したアメリカの原子力子会社「ウエスチングハウス」が、2基の原発を建設している。
ところが、当初の計画では、2基とも2017年までに稼働する予定だったが、建設は大幅に遅れ、すでに、その予定は3年後に先延ばしされた。
遅れの原因は、2011年の東日本大震災で原発の安全基準が厳しくなり、コストが大幅に増加したことなどが挙げられているが、ジョージア州の行政機関や建設現場の作業員からは、別の問題も指摘されている。
ジョージア州公益事業委員会は「の大規模プロジェクトに必要な、高度な訓練受けた技術者が、十分でない可能性がある」と話した。
原発作業員は「ウエスチングハウスのマネジメント側が、何が問題かわかっておらず、作業員に間違った指示を出している。各所に、水量を調節するバルブが取りつけてあったが、整備されなかったために、さびて使えなくなった」と話した。
このままでは、3年後の稼働にも間に合わず、さらなる損失も予想されている。
 
東芝の巨額損失は、ウエスチングハウスの買収が一因と考えられている。
ウエスチングハウスは、コストの上昇や工期の遅れに対応するため、2015年、アメリカの原発建設会社を買収した。
しかし、後に、この会社は、工事を継続するにあたり、多額の追加コストが発生することが判明。
ウエスチングハウスの親会社である東芝が、損失を背負うことになった。
企業の今後を大きく揺さぶる、アメリカでの原発事業。
東芝は、「海外で建設中の原発は、あらゆる面でコスト削減に努めていく」と説明しているものの、巨額の損失を処理する手だてを示すには至っていない。