河北新報社が宮城県内の有権者を対象に行った世論調査で、東北電力女川原発2号機の再稼働について、「反対」「どちらかといえば反対」の合計は68・6%で、「賛成」「どちらかといえば賛成」の合計は28・7%でした。
地域別では、女川町と石巻市を合わせた立地自治体が反対77・0%、賛成22・2%で、女川は賛成が60%近く、一方、石巻は反対が80%ほどでした。
30キロ圏の5市町は反対62・6%で、賛成34・6%でした。
反対の理由は「使用済み核燃料の最終処分場が決まっていない」が最多の36・6%、「全ての原発を廃炉にするべきだ」が26・1%、「安全対策が不十分」が25・0%でした。
原発の安全性については「不安」が87・0%、「安全」は11・7%で、再稼働賛成が過半数の女川町でも「不安」が80%近くになりました。
立地自治体の石巻市で再稼働反対が80%を占めたのは全国的に見ても異例のことです。
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<原発世論調査>女川2号機再稼働 68%反対
河北新報 2017年8月31日
東京電力福島第1原発事故から9月で6年半になるのを前に、河北新報社は宮城県内の有権者を対象に原発に関する世論調査を実施した。東北電力が目指す女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働について、「反対」「どちらかといえば反対」を合わせた反対意見は68・6%に上った。「賛成」「どちらかといえば賛成」の賛成意見は28・7%にとどまった。
賛否の内訳は「反対」が最も多い38・4%。以下「どちらかといえば反対」30・2%、「どちらかといえば賛成」19・9%、「賛成」8・8%の順だった。
地域別では、女川町と石巻市を合わせた立地自治体が反対77・0%、賛成22・2%の割合。女川は賛成が60%近くに達した一方、石巻は反対が80%に迫った。
原発事故を想定した避難計画策定が義務付けられている30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)の5市町(登米市、東松島市、涌谷町、美里町、南三陸町)は反対62・6%、賛成34・6%だった。
性別・年代別によって賛否の傾向が分かれた。男性の若年層(30代以下)は賛成48・3%、反対51・6%とほぼ拮抗(きっこう)。これに対し女性の高年層(60代以上)は反対82・8%、賛成13・0%だった。
反対の理由は「使用済み核燃料の最終処分場が決まっていない」が最多の36・6%。「全ての原発を廃炉にするべきだ」が26・1%、「安全対策が不十分」が25・0%で続いた。
賛成の理由は「国のエネルギー政策に必要」が43・6%、「地元経済への影響が大きい」が25・0%。「温暖化対策になる」は5・0%、「安全対策が十分」は4・3%にとどまった。地域別では立地自治体だけ「地元経済への影響」が59・2%を占め、他の理由を大きく上回った。
原発の安全性については「不安」が87・0%、「安全」は11・7%。再稼働賛成が過半数の女川町でも「不安」が80%近くになった。
女川原発1~3号機は東日本大震災後、運転が停止されている。2号機は原子力規制委員会の審査で焦点の基準地震動(想定される最大の揺れ)が固まり、審査は終盤を迎えた。東北電は2018年度後半以降の再稼働を目指している。
[調査の方法]宮城県内の有権者を対象に19、20日、コンピューターで無作為発生させた番号に電話をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法で実施した。実際に有権者のいる世帯に電話がかかったのは889件、このうち614人から回答を得た。地域別の内訳は、女川原発が立地する女川町・石巻市156件、女川原発30キロ圏2市3町(登米市、東松島市、涌谷町、美里町、南三陸町)152件、その他306件。集計では、地域別や性別、年代別など有権者の構成に合わせ、ゆがみをなくす補正をした。