7年ぶり原子力白書 原発固執政策を後押し
しんぶん赤旗 2017年9月15日
内閣府の原子力委員会(岡芳明委員長)は14日、「原子力白書」(2016年版)を決定しました。閣議に報告します。原子力白書の発刊は東京電力福島第1原発事故後初めてで7年ぶり。原子力利用で「羅針盤」の役割を果たすという同委員会ですが、原発ゼロや再稼働反対は選択肢にはなく、安倍政権の原発固執政策を後押しするものです。
事故前は、委員会発足の1956年から2010年まで継続的に発刊された白書でしたが、事故対応などを理由に休刊。今回、国内の原子力利用の現状や政府の取り組みの全体像について「説明責任を果たしていく重要性」から再開したといいます。
今回の特徴は「はじめに」で、7月に閣議決定された同委員会の「原子力利用に関する基本的考え方」を掲載したことです。福島第1原発事故で著しく高まった原子力への不信や不安に対し、「利用実績の積み重ねを通じて国民の不信や不安を軽減する」とし、原発の再稼働などに「取り組むことが必要」と原発に固執しています。
本編は5章構成。第1章で福島第1原発事故の教訓をもとに実施した取り組みを概説し、「事故原因や被害の実態を明らかにする取り組みが引き続き必要」としています。原発問題では、原発を使い続けると宣言をした「エネルギー基本計画」(14年に閣議決定)や、原発事故処理費用を国民にツケ回す方針を盛り込んだ「東電改革提言」(昨年末)など政府の取り組みを説明。コラムで建設中の電源開発・大間原発(青森県)の意義を強調しています。一方、放射線利用の経済規模が約4兆円との試算も紹介しています。
原子力委員会 東京電力福島第1原発事故前、原子力の研究・開発・利用の基本方針(「長期計画」や「原子力政策大綱」)を策定した機関。原発の「安全神話」をふりまいてきた責任があり、抜本的な見直しが求められていましたが、業務の縮小などがされただけ。