「除染袋」耐久性を維持 原子力学会大会、5年経過も問題なし
福島民友 2017年09月16日
札幌市で開かれている日本原子力学会「秋の大会」は最終日の15日、本県関係者の発表が相次いだ。県環境創造センターは、除染で出た除去土壌を詰めた大型土のう袋などの保管容器を巡り、各市町村の仮置き場での保管が一般的な耐用年数の3年を過ぎて長期に及んでいるものの、つり上げや積み重ねなど通常の輸送・保管作業に十分に耐え得ることを明らかにした。
仮置き場での長期保管を巡っては、市町村の現場から容器はいつまで持つのかと懸念の声が上がっている。同センターは市町村の仮置き場で3~5年保管されてきた実際の容器を使い、つり上げと積み重ねの二つの作業を想定して耐久性を実験した。容器の種類は大型土のう袋と耐候性土のうの2種類を使用した。
つり上げの場合には、一般的な作業では容器に1.5トンの荷重がかかるが、実験では倍の3トンの荷重をかけたつり上げを70回繰り返した。その結果、新品から使用5年まで全ての容器で破損は確認されなかった。
積み重ねの試験では、上に7個を積み重ねるという通常ではあり得ない状況を想定し、約19トンの荷重で容器を押しつぶした。その結果、新品から使用3年の容器は6時間たっても破損しなかったが、4~5年経過した容器は破損が確認され、劣化傾向にあった。
発表した県環境創造センターの高橋勇介副主任研究員は「あり得ない荷重を使った実験で、通常の使用には5年を経過しても基本的に耐久性に問題はない」との見解を示した。