原子力規制委は、東電柏崎刈羽原発の再稼働に関してこれまでは東電の「適格性」に重大な疑問を呈していたのに、8月末の段階で突然「適格性」は審査の対象ではないかのごとき言い方に変え、トリチウム廃水の処理(=海洋放流)についても、最初は東電が主体性を示さないと田中委員長が怒りをみせていたのに、その後「海洋放流を言い出せば大問題になるのだから東電が言い出せるはずがない(要旨)」と180度の転回を見せて、同発電所の再稼働を認めようとしています。
田中委員長が18日に退任する前に、ソソクサと再稼働を決めるのは不可解で本当に不明朗です。
共産党に志位委員長は7日、記者会見を行い「東電には原発を動かす資格はない。柏崎刈羽原発を再稼働させて、被害者への賠償に充てようとする安倍政権の原発推進方針は許せない」と厳しく批判しました。
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東電に原発を動かす資格なし 安倍政権の原発推進方針は許せない
柏崎刈羽再稼働問題 志位委員長が会見
しんぶん赤旗 2017年9月8日
日本共産党の志位和夫委員長は7日、国会内で記者会見し、原子力規制委員会が、東京電力が再稼働をめざす柏崎刈羽原発(新潟県)6、7号機をめぐり、原発「新規制基準」に「適合」することを示す「審査書案」をまとめる方向だと報道されたことについて次のように述べました。
わが党は、「新規制基準」そのものが、重大事故へのまともな備えがない、住民の避難対策が義務づけられていないなど、二重三重に国民の安全を守るものとなっていない問題点があることを厳しく批判してきましたが、それにくわえて今回の原子力規制委員会の対応には二つの大問題があります。
福島原発事故を起こした東電には原発を運転する資格がない
福島原発事故は、事故原因の究明も途上にあり、事故の後始末―収束、賠償、廃炉の見通しさえたたない状況にあります。
福島でも新潟でも、東電の対応に、県民の強い不信が広がっています。福島では、被害賠償への冷たい対応に批判が広がっています。新潟では、柏崎刈羽原発の免震重要棟の耐震性不足を隠していたことに不信が広がっています。
規制委員会も東電の「適格性」について問題にし、田中俊一委員長は、7月10日、「福島の廃炉をやりきる覚悟と実績を示すことができなければ、柏崎刈羽原発の運転をする資格はない」と述べていました。その後、東電から、廃炉をやりきる具体的な「覚悟」も「実績」も示すことができないもとで、どうして「適格性」を容認できるのか。規制委員会の自らの発言にてらしても、再稼働を認めることにはまったく道理はありません。
規制委員会が東電の経営状態を再稼働の理由にすることは許されない
原子力規制委員会の更田豊志委員長代理・次期委員長が、「柏崎刈羽を動かすことで事故の責任を果たそうというのは、一定の理解はできる」と述べたと報じられました。事故処理や賠償などの費用を捻出するために再稼働が必要という東電の主張を受け入れた発言にほかなりません。
東電の経営状態を再稼働の理由にするようなことを、規制委員会が行うことは、原発の安全性を技術的に審査する規制委員会の任務を逸脱するものであり許せません。しかも、事故被害者に対する賠償などの責任を原発再稼働の口実とするなど、事故被害者を愚弄(ぐろう)するものです。
重大なのは、福島事故の賠償などの費用を賄うために、柏崎刈羽原発を再稼働させるというのは、たんに東電の方針ということではなく、安倍政権の方針だということです。原発推進のためには事故被害者の思いを平気で踏みにじる安倍政権の方針は許せません。
東電に原発を動かす資格はありません。柏崎刈羽原発の再稼働は絶対に認められません。米山隆一知事は、福島事故の検証(原因・避難・健康)には3、4年かかるとしており、「合格」しても、当分は再稼働の見通しはありません。私たち日本共産党は、米山県政を支え、再稼働を許さないたたかいを広げていきます。
避難指示解除でも 課題は山積
福島 葛尾村・川内村 共産党国会議員団が要望聞く
しんぶん赤旗 2017年9月8日
東京電力福島第1原発事故から11日で6年半になります。国による避難指示解除が進む中、福島県の被災自治体・住民の要望を聞くため、日本共産党国会議員団は7日、葛尾村、川内村を訪問しました。高橋千鶴子、塩川鉄也、藤野保史各衆院議員と岩渕友、山添拓両参院議員が参加。8日には浪江町を訪問します。
昨年6月、帰還困難区域以外が避難指示解除されたものの、住民の帰還率が13%の葛尾村では篠木弘村長らと懇談。村の国への要望として、▽優良農地が除染廃棄物の仮置き場となっている。農業再開へ早急に対応してほしい▽酪農再開のため新規の機材がいる。援助策が必要▽帰還困難区域の復興拠点のあり方は柔軟に対応してほしい―などが出されました。高橋氏は、避難指示解除したら支援は打ち切るということは許されないと強調。国は全村民とともに、村で事業を始めた業者への支援も行うべきだと応じました。
避難自治体でいち早く帰還を始めた川内村では、遠藤雄幸村長が約8割の住民が帰還したものの、超少子高齢化が進み村の存亡がかかっていると強調。教育、インフラ、医療など村だけで解決できないものがあると述べました。
また、農家個人への国の補助が昨年度ようやくできましたが、川内村は帰還が早かったので対象にならないなど制度の不備があることなどが指摘されました。高橋氏は「早い帰還で一番困難な道を切り開いた人に保障がないのはおかしい。国をあげた支援が必要で、一緒に知恵を出して頑張る」と力を込めました。
一行は川内村住民とも懇談しました。
ふなやま由美衆院東北比例予定候補、熊谷智衆院福島5区予定候補、神山悦子福島県議団長が同行しました。