福島原発の1~4号機建屋周辺の地下水をくみ上げる井戸のうち、4月以降に新設された6か所で水位計の設定に誤りがあり、実際の地下水位が指示値よりも約70cm低かったことがわかりました。
地震によって建屋の地下(階)部分が損傷したため、建屋内の汚水が建屋外部の地下水と流通する状態にあります。建屋内の濃厚汚染水が周囲に漏れないようにするには、常に建屋内の水位を周囲の水位よりも低く保つことが必要で、水位計は地下水の水位を把握するために設置されています。
建屋内外の水位差を大きくとれば周辺への汚染の拡散量は減りますが、水位差を大きくするとその分周囲の地下水が建屋内に流入し汚染水の発生量が増えます。そこで内外の水位差を一定量にかつ安定的に制御するために設置した水位計に70cmもの指示誤差があれば話になりません。技術的に難しい筈もないので明らかなケアレスミスです。
全6か所で同じような誤差を示したというのは分かりにくいことですが、いずれにしても海域を直接汚染することを防止するための重要な計器であるにもかかわらず、5か月間もミスが放置されたのは信じられません。改めて東電の安全文化が疑われる話です。
猛省が促されます。
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福島第一原発 水位計の設定誤りで汚染水漏れのおそれ
NHK NEWS WEB 2017年9月29日
東京電力福島第一原子力発電所で、周辺の地下水の水位が建屋内にたまっている高濃度の汚染水の水位より一時、低い状態になっていたことがわかりました。水位が逆転したことで汚染水が漏れ出したおそれがあり、東京電力が当時の状況を詳しく調べています。
福島第一原発では1号機から4号機の建屋周辺の地下水をくみ上げる井戸のうち、ことし4月以降、新設された6か所で水位計の設定に誤りがあり、実際の地下水の水位はこれまで把握していたよりもおよそ70センチ低かったことがわかりました。
建屋周辺の地下水の水位が建屋内の地下にたまっている高濃度の汚染水の水位を下回ると汚染水が外に漏れ出すおそれがあります。
このため東京電力が実際の水位を調べたところ、1号機の建屋周辺の井戸1か所で、少なくともことし5月17日から21日までに8回にわたって水位の逆転があったということです。
水位は1時間ごとの計測データで、逆転の幅は最大でおよそ2センチだったということですが、逆転した状態がどれだけ続いていたかはわかっていません。
東京電力は、今のところ周辺の地下水に含まれる放射性物質の濃度に異常はなかったとしたうえで、引き続き汚染水が漏れ出していないかなど当時の状況を詳しく調べています。