2017年9月12日火曜日

泉田前知事が新潟5区補選に自民から出馬? 苦しい弁明

 泉田前知事が新潟5区の衆院補選に党本部の要請を受けて自民党から立候補する意志を示したことは、脱原発の旗印と見ていた新潟県民を失望させています。
 あるジャーナリストは「泉田氏は反東電ですが、反原発ではありません」と語ったということで、なるほどそう考えないとこの事態は理解できません。出馬を要請した二階・自民党幹事長はそのことをよく知っていて、「当選するまでいろいろ言っていいが、当選したら黙ってくれ」と言ったということです。
 肝心の自民党新潟県議団の大半が反対しているため事態はまだ流動的ですが、本人は出馬の意思を失っていません。

 日刊ゲンダイと田中龍作ジャーナルの記事を紹介します。
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自民からの出馬に疑問殺到 泉田前新潟県知事の苦しい弁明
 日刊ゲンダイ 2017年9月11日
「変節漢」と呼ばれても仕方がない。
 衆院新潟5区補選(10月10日告示、22日投開票)に自民党候補として出馬する意向を固めた前新潟県知事の泉田裕彦氏(54)。知事時代に東電の柏崎刈羽原発再稼働に反対姿勢を貫き、脱原発の旗印として新潟県民などから幅広い支持を集めたにもかかわらず、よりによって原発再稼働にまい進する自民党から出馬というから唖然ボー然だ。

「なぜ野党から出馬しないのか」「(泉田氏後継の野党系候補だった米山隆一知事の選対本部長を務めた)自由党の森ゆうこ参院議員とは話をしたのか」「納得がいかない」
 10日、都内で開かれた泉田氏を囲む会合。前日に自民党の地元支部が開いた知事候補の選考委員会では県議が反発して正式決定が持ち越されたが、会合の参加者からは泉田氏の出馬意向に対して疑問の声が続出したという。
 出席したジャーナリストの横田一氏がこう言う。
「参加者が泉田さんに『なぜ自民党から出馬なのか』と問うと、『出身地の4区から出ることを考えていたが、長島(忠美)さんが亡くなったので仕方なく』『自民、民進から5区で出馬を打診されたが、自民はテレビカメラを連れて表玄関から来たが、民進はテレビカメラなしの“裏口”から来て覚悟が違った』などと支離滅裂なことを言っていました。会場には、『与党でないと声届かない』という見出しで報じた地元・三条新聞があって、言い訳に使っていましたね」
 要するに政策理念を実現するためには影響力の乏しい野党ではダメだから、与党に行く――ということらしいが、ひとりでノコノコ乗り込んでいって何ができるのか。

「泉田さんが自民党から出馬するという話は知事選出馬辞退の時から流れていた。泉田さんは知事を3、4期務めたら、国政に転出しようとずっと考えていましたからね。それに誤解している有権者も少なくないのですが、泉田さんは反東電ですが、反原発ではありません。出馬を要請した二階幹事長だって百も承知している。故・長島氏は二階派だったから二階幹事長は何が何でも5区を勝ちたい。泉田さんには『当選するまでいろいろ言っていいが、当選したら黙ってくれ。河野太郎方式だ』なんて言っているようです」(新潟県政担当記者)
 国民、有権者をバカにするにもほどがある。


泉田前知事が上京 「自民新潟県連がまとまらなかったら振り出しに戻る」
田中龍作ジャーナル 2017年9月10日
 衆院新潟5区補選に自民党から出馬することが決まったかのようなマスコミ報道がある泉田裕彦・前新潟県知事 ―
 泉田氏がきょう東京都内で支援者らと会い、「何も決まっていない」として自民党からの出馬は流動的であることを明らかにした。
 泉田氏の出馬をめぐっては自民党新潟県議団の大半が反対しており、氏の原発再稼働に反対する姿勢を支持してきた市民も反発を強めている。
 流動的になった最大の理由は自民党新潟県連が割れていることだ。泉田氏は支援者に「自民党の要請に応じる、と答えただけ。まとまらなかったら要請がなかったことになる。振り出しに戻る」「まとまるか、どうかで(立候補は)変わる」と話した。

 集票マシーンである地元県連が割れ、泉田氏を支持してきた市民団体も動かない。
 新潟の選挙事情に詳しいジャーナリストによると「5区は難しい、泉田さんはこれで出れなくなったのではないか」と話した。

 きょう午後、都内で開かれた懇談会には泉田氏のコアな支援者約50人が集まった。地元新潟から駆けつけた有権者もいた。
 経産省の先輩だった古賀茂明氏も出席した。政界事情に詳しい古賀氏は後輩に苦言を呈しながらもエールを送った。
 「自民党から出るのは絶対ダメ。泉田さんなら自民党の支持がなくても通る。もう自民党はやめて4区から正々堂々と出たらいいじゃないか」。
 会場からは大きな拍手が起きた。
 ただ泉田氏は出馬の意志を失っておらず、自民党本部も強く推していることから、今後の展開は曲折が予想される。
〜終わり~