6年半ぶり再開通 浪江の114号国道
福島民報 2017年9月21日
東京電力福島第一原発事故に伴い通行が制限されていた浪江町の114号国道が20日、約6年半ぶりに自由に走行できるようになった。中通りと沿岸部を結ぶ主要幹線道のうち、最後まで一般車両の利用が規制されていた。双葉郡北部の拠点である浪江町への自由通行再開を契機に、関係機関はさらなる復興の加速化を目指す。
再開通したのは114号国道のうち、帰還困難区域となっている浪江町の津島-室原間の約27キロ区間。併せて県道原町浪江線の約200メートル、県道相馬浪江線の約400メートルも一般車両が通れるようになった。
これまで通行証を持つ町民や事業者のみが午前6時から午後8時まで出入りできたが、乗用車などの四輪車であれば終日通行可能となった。歩行者や二輪車は引き続き通行できない。
町は昨年7月、避難先と自宅を行き来する住民や事業者の利便性向上などのため福島市と浪江町を結ぶ114号国道の通行再開を国に要望。国や県、県警が時期や防犯対策を協議してきた。今年3月末に帰還困難区域を除いて町の避難指示が解除され、道路の補修、脇道へのバリケード設置などが進んだとして再開に踏み切った。
帰還困難区域内の同国道の除染は、2014(平成26)年6月から11月にかけて実施された。通行再開を控え、国が8月に行った放射線量調査によると、津島-室原間を乗用車が時速40キロで通過した場合の積算被ばく線量は1・01マイクロシーベルト/hで、胸部エックス線検診による被ばく線量の約59分の1に相当する。国は「健康に問題のないレベル」としている。沿道の空間放射線量も測定した。線量の最大値は毎時5・53マイクロシーベルト、平均で毎時1・85マイクロシーベルトだった。
馬場有町長は「人的な交流、物流がスムーズになり、復興が加速化する。緊急時の避難路や中通りへの救急搬送など、命をつなぐ道路にもなる」と再開通の効果を期待した。
■東西軸路線ほぼ復旧 帰還へ生活基盤整備課題
浪江町の114号国道が自由通行となったことで、双葉郡北部と中通りを結ぶ東西軸の路線はほぼ東日本大震災前の状態に戻った。避難区域を含む浜通りの主要道路網の状況は【図】の通り。
県によると、114号国道の原発事故前(2010年度)の交通量は室原で1日当たり6502台、津島で同2203台に上っており、基幹道路の役割を担っていた。再開通を契機に原発事故に伴う浪江町の帰還困難区域内の室原、大堀、津島の3カ所に造られる特定復興再生拠点の整備促進や、人や物の往来が活発化すると期待される。
双葉郡北部では、原発事故に伴う避難指示が一部で解除されたが、大熊、双葉両町で全町避難が続くなど復興は道半ば。避難指示が解除された自治体でも、住民の帰還を進めるため、医療機関や商業施設の整備など課題が残っている。双葉郡北部の自治体はインフラの再生と並行して県、国との連携を一層強化しながら復興に向けた動きを加速化させたい考えだ。
■399号国道再開協議 政府、県など
浪江町と飯舘、葛尾両村を結ぶ帰還困難区域内の399号国道は、一般車両の通行止めが続いている。政府や県、関係町村は2017(平成29)年度内の通行再開に向けた協議を進めている。