福島第一原発 事故から8年 排気筒の解体始まる
NHK NEWS WEB 2019年8月1日
東京電力福島第一原子力発電所の、高さが120メートルある排気筒の解体作業が、事故から8年余りたった1日、始まりました。
福島第一原発のメルトダウンを起こした1号機と2号機の脇にある高さ120メートルの排気筒は、8年余り前の事故の際、原子炉格納容器の圧力を下げる「ベント」に使われたため、内部には高い濃度の放射性物質が付着しています。
排気筒を支える鉄骨には水素爆発などによるひびも見つかっているため、東京電力は解体して半分ほどの高さにする計画で、1日、その作業が始まりました。
排気筒周辺の放射線量は高いため、作業は200メートルほど離れた場所に止められたバスの中から遠隔操作で行われ、初日の1日は、まず、筒のまわりにあるはしごなどの切断が行われました。
排気筒本体の切断は2日にも始まる予定で、東京電力は今年度中に解体作業を終えたいとしています。
作業の開始を受けて東京電力福島第一原発の磯貝智彦所長は「気を引き締めて、安全第一にしっかりと作業を進めたい」と話していました。
福島第一原発の排気筒の解体は、ことし5月に始まる予定でしたが、作業に使うクレーンの高さが不足していることがわかり、必要な対策工事のため開始がおよそ3か月、延期されていました。
「安全第一にしっかりと作業を進めたい」
排気筒の解体作業が始まったあと取材に応じた、東京電力福島第一原発の磯貝智彦所長は「スタートの日に機器の不具合もあって心配をおかけしたが、あす以降、筒の解体など作業が本格化するので、改めて気を引き締めて、何かあったら立ち止まりながら、安全第一にしっかりと作業を進めたい」と述べました。
また、解体作業を担当する地元企業の岡井勇担当部長は「地域の期待も大きいプロジェクトだと思うので、地元の企業として、人々が安心して帰還できる環境を作るよう、解体作業をきちんと成功させたい」と話していました。
福島第1の排気筒切断延期 長時間作業、気温上昇で
共同通信 2019/8/2
東京電力は2日、福島第1原発1、2号機の共用排気筒(高さ約120メートル)の本体を切断する同日予定の作業を延期したと発表した。1日の作業が午後11時ごろまで長時間に及び、2日も現場での気温上昇が予想され、作業員の体調に配慮した。新たな作業日程は来週以降で調整する。
排気筒は2011年3月の事故時、1号機の原子炉格納容器の圧力を下げるため、放射性物質を含む蒸気を外部に放出する「ベント(排気)」に使われた。支柱に破断があり、倒壊リスクを下げるため上半分を解体する。
解体作業では切断装置を遠隔操作し、排気筒の上端から輪切りにしていく。