2019年8月11日日曜日

トリチウム含有処理水 政府小委で貯蔵継続の可能性議論

 東電8日に福島第1原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水のタンク保管が22年で限界に達すると報告したことに引き続き、トリチウム含有処理水の処分方法を検討する政府の小委員会が9日約7カ月ぶり開かれました。
 
 東電は敷地内でのタンク保管は22年夏ごろに限界となると説明しましたが、多くの委員が説明不足や再検討の必要性を指摘しました。さらに敷地北側の空き地を残土置き場などに使う東電の方針にも「(放射性物質濃度が低い)安全な土も敷地内に保管するのに、処理水は環境に放出するのは理解されにくい」と疑問視する声や、「風評被害を抑えるために処理水をため始めたのだから『敷地が足りなくなったから処分する』という話にはならない」との指摘が出ました。
 
 東電の主張を追認するだけでない健全な審議が行われています。次回以降も議論継続されます
 これまでに出されている処分法法案は下記のとおりです。
 
トリチウム含有水 処分方法
処分方法
前処理
処分期間(月)
監視期間(月)
処分費用(億円)
地層注入
なし
69~102
456~912
177~180
希釈
85~156
処分期間中
501~3976
海洋放出
希釈
52~88
処分期間中
17~34
水蒸気放出
なし
75~115
処分期間中
227~349
水素放出
なし
68~101
処分期間中
600~1000
地下埋設
なし
62~98
456~912
1219~2533
 
 (関係記事)
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<原発・福島のいま> 福島第1処理水 政府小委、貯蔵継続の可能性議論
 保管量「説明不足」指摘も
 河北新報 2019年08月10日
 東京電力福島第1原発の汚染水を多核種除去設備「ALPS(アルプス)」などで処理した水の処分方法を検討する政府の小委員会が9日、東京都内であった。昨年8月の公聴会で提案された処理水の貯蔵継続の可能性を初めて議論した。
 放射性物質トリチウムを含むALPS処理水などの貯蔵継続は、別の作業部会が2016年に整理した海洋放出、地層注入など5種類の処分方法に対し、公聴会の出席者が「第6の選択肢」として挙げていた。
 
 永続的な貯蔵は複数の委員が否定的な見解を示した。長期間貯蔵するほど放射能が自然に低減するメリットがあるが、ある委員は「決してゼロにはならない以上、結局は処分方法を議論するしかない」と述べた。
 東電が敷地の制約を理由に処理水の保管上限を137万トンとし、22年夏にも「満杯」となる見通しを示した点には、多くの委員が説明不足や再検討の必要性を指摘した。
 敷地北側の空き地を残土置き場などに使う東電の方針にも「(放射性物質濃度が低い)安全な土も敷地内に保管するのに、処理水は環境に放出するのは理解されにくい」と疑問視する声が出た。委員が第1原発の敷地の拡幅に言及する場面もあった。
 委員の1人は「風評被害を抑えるために処理水をため始めたのだから『敷地が足りなくなったから処分する』という話にはならない」とくぎを刺した。
 会合後、東電福島第1廃炉推進カンパニーの松本純一廃炉推進室長はタンクの増設に関し「現時点で一基もどこにも造れないわけではない」と説明した。