元米原子力規制委員会(NRC)の委員長だったグレゴリー・ヤツコ氏(48)が、東京新聞のインタビューに応じ、「原発は破綻した科学技術だ」とし、福島事故を経てもなお原発に固執する日本のエネルギー政策に対し、「次の事故のリスクを認識、理解する必要がある。起きるかどうかではなく、いつ起きるかだ」と警鐘を鳴らしました。
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原発技術は破綻 必ず事故起こる 米規制委元委員長が警鐘
東京新聞 2019年7月31日
二〇一一年の東京電力福島第一原発事故当時に米原子力規制委員会(NRC)の委員長だったグレゴリー・ヤツコ氏(48)が、本紙のインタビューに応じ、経済性や安全性を理由に「原発は破綻した科学技術だ」と主張した。「原発に頼る限り事故は必ず起きる」と述べ、発電コストが下がり続けている風力や太陽光といった再生可能エネルギーの開発に全力を注ぐべきだと訴えた。
米国は世界随一の原発大国で、NRCは原発の安全規制や許認可を担う連邦政府の独立機関。ヤツコ氏は〇五~一二年に委員を務め福島事故では委員長として事態収拾に向けて日本側と対応を協議し、現場にも足を運んだほか、米国で安全対策の強化に尽力した。
福島の事故後、NRCとして地震や火災、水害といった災害に対する原発の弱点を洗い出したが、原子力業界の妨害などで「ごくわずかな改善」しか実現できなかったと回想。業界という「圧倒的な存在」が規制当局や政官界にまで幅を利かせる構図が必要な安全対策を阻み、経済性が落ち込んだ原発を延命させる一因になっていると指摘する。
福島事故を経てもなお原発に固執する日本のエネルギー政策に対し「次の事故のリスクを認識、理解する必要がある。起きるかどうかではなく、いつ起きるかだ」と警鐘を鳴らした。(ニューヨーク支局・赤川肇、写真も)