2019年8月10日土曜日

福島第1原発の処理水タンク「22年夏で満杯」 増設も無理と

 東電は8日福島第1原発の汚染水を処理してタンクにたまり続けているトリチウム含有処理水は日平均170トン増えているので、現在のタンクヤードでは2022年夏ごろに満杯になると明らかにしました。
 それは掛け算・割り算で出せるもので以前から分かっていたことですが、福島民報、福島民友、河北新報などの地元紙をはじめとして各紙が一斉に報じました。
 
 この問題は、先に完成した凍土遮水壁が穴だらけの不完全なものであることに根源があり、1~3号タービン建屋地下室の割れ目から流入する地下水の量を日平均170トン以下に抑えられないことにあります(流入量を限りなくゼロにできれば汚水発生の問題は解決します)。従ってコンクリート製などの遮水壁に作り直すことが先決です。
 
 東電と規制委は、このトリチウム含有水を海洋投棄しようという考え方なので、タンクが満杯になれば放流するのも仕方がないと世論を誘導したいのでしょう。その予防線として、トリチウムの放射線=ベータ線は比較的弱く人体に入っても大部分は排出されると、その影響を過小評価する論調がこの問題に関連して聞かれるようになりました。
 しかし がん専門医らによれば「トリチウムは、DNAを構成する5元素の一つである水素としてDNAに取り込まれて遺伝子を破壊する」ということで、1000兆ベクレルという桁外れの量のトリチウムを安易に海へ投すべきではありません。
 
 そもそも第一原発には7号機、8号機用の広大な敷地があるので、タンクヤードの敷地はいくらでもあります。東電が、それらは全て廃炉時廃材の置場にするからと無理にその考えを排除しようとしているのは「ためにするもの」で、本当に敷地がないのかとても信用できません。また海上でのタンク貯蔵(タンカーのような構造)についても、津波の惧れがあるからと排除したいようですが、それこそいまだに防潮壁を作る構想がないことと矛盾します。
 全ては海洋投棄に持っていくための、見え見えの魂胆としか思われません。
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福島第1原発の処理水タンク「22年夏で満杯」 タンク増設のめど立たず
毎日新聞 2019年8月8日
 東京電力福島第1原発の汚染水を処理してタンクにたまり続けている処理水について、東電は8日、このまま増え続ければ2022年夏ごろに満杯になると明らかにした。現在、960基余りのタンクで約115万トン保管しているが、今後は増設できる場所が限られ、約137万トン分までしかタンクのめどが立っていないという。 
 
 政府は9日、処理水の処分方法を議論する有識者小委員会を約7カ月半ぶりに開催。東電はこの見通しなどを示して、3年後には処理水の貯蔵量に限界が来る状況を説明する。 
汚染処理水を保管するタンク=福島県大熊町の東京電力福島第1原発で、藤井達也撮影
 汚染水は、核燃料が溶けて構造物と混じり合った燃料デブリを冷やすことで生じる高濃度汚染水と、建屋に入る地下水などが混じることで、18年度の平均で1日約170トン発生。処理装置を通しても取り除けない放射性物質トリチウムなどが残った処理水を、7月18日時点で約115万トン保管している。 
 東電によると、20年12月末まではタンクの増設を計画しているが、処理水はそれ以降も増え続ける見込み。 
 東電は廃炉工程表で、21年に燃料デブリを取り出し始める計画を示している。使用済み核燃料プールから取り出した燃料を保管したり、デブリ取り出しの準備をしたりする新たな施設の用地も必要としており、これらに少なくとも約38万トン分のタンクの敷地に相当する約8万1000平方メートルを確保したいとした。 
 こうした状況から、東電は今のタンクに代わり、別の保管方法を検討。地中タンクや海上タンクなどは、津波対策などを考慮するといずれも現実的でないと結論づけた。原発の敷地外での保管は、受け入れ先の自治体の理解や安全な移送手段の確保が必要になるという。 
 東電福島第1廃炉推進カンパニー廃炉推進室の松本純一室長は「処理水の保管を続けた場合、廃炉に必要な施設が設置できない」と話した。【岩間理紀】