東電の小早川智明社長が26日、柏崎市を訪れ、運転停止中の柏崎刈羽原発について、6、7号機の再稼働後5年以内に1~5号機の1基以上の廃炉を検討する方針を地元の新潟県の桜井・柏崎市長に伝えました。
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柏崎刈羽原発1~5号機の1基以上の廃炉検討 東電が柏崎市に伝達
毎日新聞 2019年8月26日
東京電力ホールディングス(HD)は26日、運転停止中の柏崎刈羽原発について、6、7号機の再稼働後5年以内に1~5号機の1基以上の廃炉を検討する方針を地元の新潟県柏崎市に伝えた。東電が同原発の廃炉の検討方針を示すのは初めて。柏崎市が再稼働の条件として1~5号機の廃炉計画の策定を求めており、東電が回答を示した。
東電の小早川智明社長が26日、柏崎市を訪れ、桜井雅浩市長に回答文書を提出した。文書で東電は「十分な規模の非化石電源の確保が見通せる状況となった場合」を前提に、6、7号機の再稼働実現後5年以内に「廃炉も想定したステップを踏んでまいります」とした。廃炉を検討する方針を示すことで再稼働への理解を得たい考えで、小早川氏は提出後、記者団に「(市長には)一定の評価をいただけた」と述べた。
柏崎刈羽原発は2012年3月までに1~7号機がすべて運転を停止。6、7号機は17年に国の安全審査に合格したが、地元の理解が得られず再稼働できていない。桜井市長は17年6月、再稼働を認める条件として1~5号機の廃炉計画の2年以内の提出を求めると表明。これまで、廃炉の対象と基数、期間の「三つのうち一つも入らないものは計画と呼ばない」と東電をけん制していた。今回の回答について「平均点に達していない」と述べ、1カ月以内に追加の要請を含めて東電に回答するとした。
東電は福島第1原発の全6基を廃炉にするのに加え、7月には福島第2原発の全4基の廃炉も決めた。さらに廃炉を増やすと作業の人員確保が困難になる。また、東電の保有原発は柏崎刈羽だけになるため、これ以上廃炉が増えると、技術の継承や人材育成が困難になるため、具体的な廃炉計画は示さなかった。柏崎刈羽原発の発電規模は世界最大級で、再稼働すれば1基当たり600億~1100億円の収支改善効果が見込める。経営への影響を減らすため廃炉の基数を少なくしたい思惑もある。
廃炉計画の回答期限は今年6月だったが、同月に発生した新潟・山形地震で、東電が「異常あり」と柏崎市などに誤って伝えるトラブルがあり、回答が先延ばしになっていた。
6、7号機の再稼働については新潟県の同意も必要。同県は福島第1原発の事故原因や安全な避難方法などの検証作業を行っており、終わらなければ再稼働の議論はしない姿勢を示している。【中津川甫、内藤陽】
東電、再稼働5年以内に廃炉判断 柏崎刈羽原発1-5号機、「1基以上想定」
新潟日報 2019年8月26日
東京電力の小早川智明社長は26日、柏崎市役所で桜井雅浩市長と面会し、柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働の条件として市長から提出を求められていた1~5号機の廃炉計画について、「6、7号機の再稼働後、5年以内に1基以上の廃炉も想定したステップに入る」と回答した。廃炉は確約せず、対象の号機や期限も具体的に示さなかった。東電が同原発の廃炉に言及したのは初めて。桜井市長は1カ月後をめどに、受け入れるかどうか東電に返答する。
6、7号機は県による「三つの検証」が続いているため、再稼働の時期は見通せない。廃炉に関する具体的な議論がいつ始まるかは不透明だ。
小早川社長は桜井市長に対し、「1~5号機は低廉で安定的かつ二酸化炭素排出の少ない電気を供給する上で必要な電源」と強調。「1基以上」の廃炉については、洋上風力発電など温室効果ガスをほぼ出さない「非化石電源」を、十分な規模で確保できる見通しとなった場合、6、7号機の再稼働後に検討する方針。
小早川社長は「現時点で最大限の回答だ」と理解を求めた。桜井市長は「できる限りの案を出してもらった。東電の姿勢を評価する」と述べた。
桜井市長は1~5号機のいずれかの廃炉により、集中立地のリスク解消を求めている。廃炉計画については基数、対象号機、期限のいずれかの数字が入っていないものは「計画とは呼ばない」と主張していた。