2019年8月18日日曜日

18- 韓国が切り札で反撃 福島原発汚染水の実態を明らかにと

 外国人でもちょっと注意深い人であれば、福島原発が「アンダーコントロール」状態にないことは分かります。それでもあえて口にしないのはいわゆる「惻隠の情」に基くものです。「おもてなし」ならぬ「おもいやり」の発露です。
 
 日本側が仕掛けた「日韓摩擦」のなかで、韓国側はついに「韓国国民の健康や安全を最優先として、福島原発汚染水の管理状況や処理計画について、日本に情報公開などを積極的に要請していく」方針を明らかにしました。筋が通った主張です。
 まかり間違えば「東京五輪ボイコット」につながりかねませんが、ことの始まりからして責任はすべて安倍首相にあります。
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韓国が切り札で反撃 安倍首相の嘘が招いた“東京五輪潰し”
日刊ゲンダイ 2019/08/17
 泥沼化する一方の日韓関係が“寝た子を起こす”展開になるかもしれない。
 韓国外交省の報道官が13日の会見で、福島第1原発でたまり続ける汚染水について、「韓国国民の健康や安全を最優先として、汚染水の管理状況や処理計画について、日本に情報公開などを積極的に要請していく」とする方針を発表したからだ。
 報道官は「必要に応じて国際機関や太平洋沿岸国とも協力し、汚染水の放出問題に対応していく」と強調していたが、慌てているのは、五輪招致をめぐる2013年のIOC総会で、汚染水について「アンダーコントロール」と世界にウソ八百を発信した安倍首相だろう。
 
 東電によると、福島第1原発の汚染水は敷地内のタンク960基に約115万トンに上り、タンクは22年夏ごろには満杯になる。
 すでに、台風や大雨の際には汚染水が原発の地下を通って周辺海域に“ダダ漏れ”している疑惑も指摘されており、明らかに「アウトオブコントロール」の状態だ。
 
 時事問題を扱う米誌「ザ・ネーション」は7月25日、<オリンピックに向けて福島は安全か?>と題した記事を掲載。<福島を訪問したが、大会組織委が掲げる「復興五輪」には議論の余地がある><我々がここ(福島)で会った人の中で、安倍首相の「アンダーコントロール」という大ボラを信じている人はいない>と断じていた。
 つまり、世界の誰もが、安倍のウソをうすうす気づいてはいるものの、被災地住民の生活などを考えて声を上げてこなかっただけ。韓国はそこに真正面から切り込んできたワケで、日本が仕掛けた輸出規制に対する「切り札」と言っていい。今後の展開次第によっては韓国だけじゃなく、他の国も原発の「アウトオブコントロール」状態を懸念し、ボイコットが相次ぐかもしれない。まさに“東京五輪潰し”だ。
 
「安倍政権にとっては、痛いところを突かれたと思います。韓国は震災以降、日本の農産品などについて輸入規制を強化するなど、厳しい目を向けてきました。安倍政権は東京五輪を成功させたいのであれば、韓国の要請を無視できないでしょう。国際社会は、安倍首相の『アンダーコントロール』発言に根拠がないとうすうす分かっているからです。安全を証明する挙証責任は日本側にあります」(高千穂大教授の五野井郁夫氏=国際政治学)
 
「やんのかぁ、こらぁ」「上等だぁ」などと田舎の暴走族のような小競り合いを続けていることが、どれだけ国益と信用を損なうのか。本当に五輪中止に追い込まれないと安倍政権は気づかないのだろう。