原発被災者の心情表現 和合亮一さん発起人、詩とダンスを神社に奉納
河北新報 2019年8月18日
福島市在住の詩人和合亮一さんが発起人となり、東日本大震災の被災地などを巡る復興イベントに取り組んでいる「未来の祀(まつ)り」実行委員会は、福島県飯舘村の山津見神社で詩とダンスなどのコラボ作品を奉納した。
11日にあった奉納では、和合さん原作の「狼(おおかみ)」の朗読に合わせて、オーストラリアの舞踏家らが踊りを披露。手を広げたり、しゃがんだりして全身で表現した。和合さんが即興で詩を詠む場面もあった。
「狼」の作品中で和合さんは東京電力福島第1原発事故で避難を強いられた被災者の古里への思いを、自然の中で力強く生きるオオカミに重ね合わせた。「まだ時間が止まったままの被災地もある。詩を聞き、これまでの年月を振り返ってほしい」と話した。
「未来の祀り」は震災から10年の節目となる2021年、岩手、宮城、福島の被災3県を中心にライブや講演会、刊行物発行など東北から震災を発信する復興イベントを計画する。
今年はその準備の年と位置付け、2年後に発表するイベントの台本を制作しながら県内各地で作品披露やワークショップを展開。8月は飯舘村のほか、いわき市で開かれた。24日には福島市土湯温泉でも開催される。和合さんは「震災から時間が経過した今こそ、被災した人とそうでない人が苦しさや痛みを分かち合うことが求められている。震災を東北から全国、世界へ発信し、一人一人考えて理解してもらえるといい」と語る。