2017年4月5日水曜日

05- 東電 前途多難な船出 社内分裂リスクも

  もともと電力会社は官庁と同じで、自分で仕事を計画したり自ら製造したり完成させたりするということはなくて、装置を作るにしても改造するにしても計画から試運転まですべて民間のメーカーに行わせて、自分たちはそれを管理するという立場に徹しています。本業である発電の操作・運転にしても実務は全て専任の下請け企業が行っています。
 そこに民間企業から会長を迎え入れることになったわけで一般的には民間企業の活力云々・・・ということになるわけですが、その効果のほどはどうなのでしょうか。
 原発メーカーの出身なので原子力発電にこだわっていて、政府には好感されているということです。
 その点は興ざめな話で、基本線は旧態依然ということなのでしょう。
 産経ビジネスは社内分裂リスクまで挙げています。
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東電、前途多難な船出 社内分裂リスク、原発が火種 
産経ビジネス 2017年4月4日
 日立製作所の経営再建を主導した川村隆名誉会長が、東京電力ホールディングス(HD)でその手腕を発揮することになった。福島第1原発事故の対応費用として毎年5000億円を捻出し続けるほか、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に向けた地元との協議など「普通に頑張ったくらいではとても(達成)できない」(川村氏)難題の数々が待ち構える。社内分裂リスクや、自身が原発メーカー出身である影響が出てくる可能性もあり、多くの火種を抱えた船出となりそうだ。
 
 「若い人と社外取締役を中心にタッグを組んでやれば成果も出やすい」。川村氏は3日の会見で、経営再建には若い社員と社外取締役の経験が必要だと繰り返し強調した。一方で、世代交代に取り残された “守旧派” に配慮する発言はなかった。
 東電が3月31日に発表した新経営陣は取締役13人のうち10人が新任となり、社内取締役は50代前半が中心となる。社員の士気を維持することに苦心してきた広瀬直己社長との方針の違いは明確で、東電社内からは「社内分裂が心配だ」との声も上がる
 また川村氏は原発の在り方について、「日本のエネルギーとして原子力発電は必要だと思っている」と明言。東電が収益力の柱に据える柏崎刈羽原発の再稼働は、地元の米山隆一新潟県知事が再稼働に慎重な姿勢を崩さず、主張の違いで協議が難航する可能性もある。
 
 さらに、東芝の経営再建に絡んで、東芝、日立、三菱重工業の国内原発メーカー3社の事業再編話も浮上する中、日立出身の川村氏の東電会長就任は官邸や政府にとって好都合とみえる。電力業界のみならず原発メーカーの再編・統合ももくろむ政府や官邸の思惑に引き込まれる恐れもあり、“古巣”の経営に影響を与える可能性もある。(古川有希)
 
■東電HDの川村新体制が抱える経営課題
 ・福島第1原発事故の対応費用として毎年5000億円を捻出
 ・柏崎刈羽原発の再稼働に向けた地元対応
 ・“東電守旧派”との融和
 ・原子力や送配電事業の再編・統合に向けた他電力との交渉
 ・政府・官邸との距離感