原発事故などで福島県から避難した子どもたちへのいじめについて、文科省が全国調査を行った結果、その数は204件に上りました。
「福島へ帰れ」、「放射能がうつるから来ないで」、「お前らのせいで原発が爆発した」などと言われた事例や、小学生の時からたたかれたり遊興費を要求されたりした事例がありました。
一方で、いじめの原因が「原発避難」としたものは僅かに13件と全体の1割未満にとどまりました。
それについては、避難生徒へのいじめについては極めて鈍感であったり、いじめを隠ぺいしようとした教員たちが現実にいたわけなので、いじめの原因の特定・判定自体に問題があるのではないかと疑問視する意見があります。
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原発避難のいじめ 全国で204件 文部科学省調査
NHK NEWS WEB 2017年4月11日
原発事故などで福島県から避難した子どもたちへのいじめについて、文部科学省が全国調査を行った結果、その数が204件に上ることが初めてわかりました。一方で、いじめの原因が「原発避難」としたものは13件と全体の1割未満にとどまり、専門家の中には教員が原発避難いじめを把握できていない中、その結果を疑問視する意見もでています。
文部科学省は、横浜市などで明らかになった原発避難いじめの実態を把握するため、先月、全国の教育委員会などを通じて、福島県から全国に避難している小中学生や高校生など、1万1800人余りを対象に初めて調査しました。
その結果、避難先で児童や生徒が受けたいじめの件数は合わせて204件に上ることがわかりました。内訳を見ますと、昨年度、起きたいじめは129件、平成27年度までの5年間にあったいじめが75件となっています。
いじめの内容としては、入学した時、「福島へ帰れ」と言われた小学生や、避難当初、「放射能がうつるから来ないで」と言われた中学生、さらに、「お前らのせいで原発が爆発した」と言われた中学生の事例が報告されています。これらの事例はいずれも学校の対応で解決したということですが、中には、小学生の時からたたかれたり遊興費を要求されたりして不登校となり、学校が深刻ないじめとして重大事態として扱ったものもあったということです。
一方で、今回の調査で原発避難がいじめの原因だとされたのは全体の1割未満の13件にとどまりました。NHKが福島県から避難した740世帯余りに先月までに行ったアンケートでは、少なくとも54人の子どもたちが「原発避難いじめ」に遭ったと回答しており、いじめの問題に詳しい法政大学の尾木直樹特任教授は「原発避難いじめの実態が伝わってこない結果だ。教員がいじめを見る時に原発というものさしがないので非常に表面的な子どもたちの問題点にとどまってしまっている」と批判しています。文部科学省は11日、これらの調査結果を公表することにしています。