2017年4月22日土曜日

22- 原発避難いじめで 横浜市教委が6人処分 教育長は厳重注意

 福島原発事故で横浜市に自主避難してきた生徒がいじめを受けていた問題で、市の教育委員会は適切な対応を取ることができなかったとして、当時の小学校や教育委員会の担当者6人を戒告などの処分にしました。また、林文子市長は岡田優子教育長に対して文書で厳重注意を行いました。
 
 このいじめの問題は昨年11月に発覚して、市教育委は12月1日に生徒宅に初めて謝罪に訪れていますが、その後1月に入って、生徒が150万円おごらされたことに対して、加害生徒らが強制を否定しているのでいじめとは認定できないと発表するなど理解不能の対応があり、社会的に糾弾されていました。
 報道は「厳重注意」ということで終わっていますが、本人が本当に責任を感じているのであれば教育長の地位などに留まるべきではないでしょう。
 
     (関係記事) 下記他多数
          12月27日  横浜市立小学校 原発避難生徒いじめ問題
          1月22日  150万円おごらされても いじめ認定は困難と 横浜市教委
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原発避難いじめ 横浜市教委が6人処分 教育長は厳重注意
NHK NEWS WEB 2017年4月21日
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、横浜市に自主避難してきた生徒がいじめを受けていた問題で、市の教育委員会は組織的に適切な対応を取ることができなかったとして、当時の小学校や教育委員会の担当者6人を戒告などの処分にしたと発表しました。また、林文子市長は組織全体の管理に責任があるとして岡田優子教育長に対して文書で厳重注意を行いました。
 
この問題は、原発事故で福島県から横浜市に自主避難してきた、現在中学2年の13歳の男子生徒が、転校してきた小学校でいじめを受けていたものです。
 
横浜市教育委員会は21日記者会見を開き、生徒側から小学5年生の時にいじめの被害の訴えがあり、法律に基づいて直ちに調査を行うべきだったにもかかわらず、学校や教育委員会はおよそ1年7か月間、組織的に適切な対応を取ることができなかったとして、関係者を処分したと発表しました。
それによりますと、小学校を管轄していた当時の教育事務所の所長2人を戒告、すでに退職している当時の小学校の校長を戒告相当、当時の小学校の副校長を教育長文書訓戒とするなど合わせて6人を処分しました。
 
また、林文子市長は岡田優子教育長に対して「学校・教育行政全体の管理監督者として、組織の管理が不十分だったと認められる」として文書で厳重注意を行いました。
 
いじめに向き合わなかった教育現場
いじめを受けていた、現在中学2年の男子生徒は6年前、横浜市の小学校に転校してきた直後から、名前にばい菌の「菌」をつけて呼ばれました。
さらに5年生の時には、ゲームセンターなどで遊ぶ金として、10人ほどの同級生に合わせて150万円を払わされていたとされています。
男子生徒が書いた手記では、「ばいしょう金あるだろと言われむかつくし、ていこうできなかったのもくやしい」といじめをやめてもらうために金を払っていた胸のうちを明かしています。
そして「いままでなんかいも死のうとおもった。でも、しんさいでいっぱい死んだからつらいけどぼくはいきるときめた」と結んでいます。
この問題では、生徒が小学5年生の時に、両親が「同級生に多額の金を払わされている」などといじめを訴えたにもかかわらず、学校や教育委員会は、「生徒がみずから払っていた」として、いじめにはあたらないと判断していました。
しかし、その後、調査を行った横浜市教育委員会の第三者委員会は学校側の対応を「教育の放棄に等しい」などと厳しく指摘し、ことし2月、教育委員会は一連の対応の落ち度を認め、「生徒の気持ちを受け止められず、おわびします」と謝罪しました。
 
林横浜市長 しっかり取り組みを
横浜市の林文子市長は「今後、学校や地域などがより一層連携して、横浜の子どもを育てる環境を整え、いじめの未然防止や早期発見、早期解決の対応が進められるよう、しっかり取り組んでいきます」とコメントしています。
 
教育長「長い間つらい思いさせ申し訳ない」
横浜市教育委員会の岡田優子教育長は、記者会見で、「いじめを受けた生徒と保護者に長い期間つらい思いをさせ、大変申し訳なく思っています。再発防止策を着実に実施し、学校・教育委員会全体の組織力の向上や教師の指導力の向上に取り組んでいきます」と述べました。
 
生徒の保護者「子どもが放置されることないように」
生徒の保護者は弁護士を通じて、「私たちは、今回の件で、学校や教育事務所によって初動で放置されてしまいました。いじめや何か問題が起きたときは初動こそが大事です。今後、教育委員会においては、子どもが放置されることがないよう改善し、実行していただきたいです」というコメントを出しました。
また、生徒側の弁護士は、横浜市の林文子市長が検討している再調査について、「生徒本人はすでに前を向いて歩き始めているので、長期にわたる再調査はその妨げになる」として、求めない意向を明らかにしました。