福島県内のコメ農家らが東電に土壌の放射性物質濃度を事故前の水準に戻すよう求めた訴訟で、福島地裁郡山支部は14日、訴えを却下しました。
判決に対して鈴木博之原告団長は「原発事故の後始末をしなくてもいいと、司法がお墨付きを与えてしまった」と、憤りをあらわにし、花沢俊之弁護士は「『却下』という結論だけで、内容に関する議論がなかった」と批判しました。
原告側は控訴する方針です。
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原発事故の農地汚染回復訴え却下 地裁郡山支部、原告控訴へ
福島民友 2017年04月15日
東京電力福島第1原発事故により、放射性物質で農地を汚染されたとして、(福島)県内のコメ農家ら8人と農業法人1社が東電に土壌の放射性物質濃度を事故前の水準に戻すよう求めた訴訟で、地裁郡山支部(上払大作裁判長)は14日、「放射性物質の除去方法が技術的に確立されていない」として、訴えを却下した。
原告側は控訴する方針。原告側によると、原発事故を巡る農地の原状回復を求めた訴訟の判決は全国で初めて。
判決理由で上払裁判長は「原告側は農地の放射性物質を除く方法を具体的に明示しておらず、訴えが認められた場合に東電が取るべき行為を特定できていない」と却下の理由を示した。放射性物質の飛散で農地の所有権が侵害されたか否かについては判断を示さなかった。
原告側は、事故でコメや野菜を作っていた計約30ヘクタールの農地の放射性物質濃度が上がり「安全、安心な農産物を生産、販売することができなくなった」と主張。事故前に県内で測定されたのと同程度まで放射性物質濃度を回復させるよう求めた。
東電側は「原告の農地は作付け制限や出荷制限もなく、使用は妨げられていない」と主張した。
原告団の鈴木博之団長(67)は判決後の記者会見で「原発事故の後始末をしなくてもいいと、司法がお墨付きを与えてしまった」と、憤りをあらわにした。原告側の花沢俊之弁護士(40)は「『却下』という結論だけで、内容に関する議論がなかった」とした。
東電は判決を受け「訴訟の内容については回答を差し控える」とした。