2017年4月22日土曜日

今村復興相がまた記者の質問を勝手に打ち切る

 4日の記者会見でフリージャーナリストの西中誠一郎氏から自主避難者への住宅手当を打ち切っても良いのかと追及された西村復興相がキレて、「うるさい!」「出て行きなさい!」などと暴言を吐いた問題は社会的に糾弾されましたが、何故か依然として復興相の地位に留まっています。
 その西村復興相は21日の記者会見で、同じ西中氏から自主避難者への住宅支援が打ち切られ、行き場のない人もいる。国が調査しないと、実態が分からないのでは」と質問されたのに対して的確な回答をしなかったので西中氏が「把握できるのか」と再び問いかけようとすると復興相はいらだっ「もういいよ。他の人どうぞ」と質問を打ち切ったということです
 
 西村氏はこれまでも差別されている弱者たちに寄り添って来た人なので、自主避難者たちのこの死活問題に対してキチンとした回答がどうしても欲しかったのです。担当大臣としては自主避難者たちを「把握する」のであればそう回答すればいいし、把握するつもりがないのであればその理由を説明するのが、記者会見に求められていることの筈です。
 それが出来ないのであればやはり西村氏は担当大臣として失格者です。もっとも安倍内閣には稲田防衛相・金田法相など失格者は沢山いるわけですが・・・
 
 LITERAが「まったく反省なし!」とする記事を出しました。
 
    (関係記事)
4月9日  「うるさい」「出ていけ」と言われた西中誠一郎氏にインタビュー
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まったく反省なし! 今村復興相がまた質問を勝手に打ち切り! 
「自主避難は自己責任」と被災者を追い詰める大臣など即刻辞任しろ
LITERA 2017年4月21日
 やはり、この大臣は何の反省もしていなかった──。今月4日の会見で福島原発事故の自主避難者について記者に質問され、「自己責任」「裁判でも何でもやればいい」と発言し、挙げ句、記者に「うるさい!」「出て行きなさい!」と激昂、暴言を吐いた今村雅弘復興相だが、きょうの会見で、同じ記者からの質問に苛立ち、「もういいよ」と打ち切ったというのだ。
 
 質問をした記者は、本サイトの取材にも応じてくれたジャーナリストの西中誠一郎氏だが、毎日新聞によれば、西中氏は「自主避難者への住宅支援が打ち切られ、行き場のない人もいる。国が調査しないと、実態が分からないのでは」と質問し、今村復興相は「いろんな方がいらっしゃる。よく聞いてから対応したい」と回答。これでは前回の会見と同じで自主避難者への対策を国が見ないふりをしているようなものだが、西中氏が「把握できるのか」と再び問いかけようとすると、今村復興相は〈いらだった様子で「もういいよ。他の人どうぞ」と質問を打ち切った〉というのだ。
 今村復興相は4日の態度が問題となった後の6日に「自己責任という言葉づかいはよくなかった。深くおわびする」「(記者に対して)感情的になってしまった」と陳謝したが、舌の根が乾かぬうちにとはまさにこのことだ。
 
 しかも重要なのは、今村復興相は「自己責任」発言の何が問題であったかをまったく考えてこなかったことだろう。発言後は自主避難者たちから怒りの声が上がり、6日には原発事故被害者などの4団体が共同で約3万人もの「辞任要求」のインターネット署名を復興庁に提出。村井嘉浩・宮城県知事も10日に「避難せざるを得ない原因は原発事故で、東電や政府の責任は免れない。避難者に失礼」「言葉一つで被災者を傷つけることを忘れないでほしい」と苦言を呈していた。
 しかし、今村復興相はそうした声には耳を傾けず、11日の衆院震災復興特別委員会では「(帰還するかしないか)自分で判断をすることは当然、責任が伴う」と言い放ち、相も変わらず“自主避難者は自己責任”と強調したのだ。
 
 そしてきょう自主避難者について質問されてキレただけでなく、今村復興相がとった、質問をシャットアウトするという態度──。これは今村復興相がいまも自主避難者に対して「自己責任」「裁判でも何でもやればいい」と考えている証拠にほかならない。
 何度でも繰り返すが、自主避難者は原発事故の被害者であり、自主避難者には何の落ち度もない。そして、人びとが避難せざるを得ない状況をつくり出したのは、原発を国策として推進させてきた政府にある。しかし、安倍政権はそうした事故への責任を放棄して「自己責任だ」と片づけ、支援さえも打ち切ったのだ。冷酷無残と表現するしかないだろう。
 
 じつはこうした今村復興相の酷薄な姿勢に対し、きょう開かれた参院東日本大震災復興特別委員会において、川田龍平参院議員が自身の経験を語りながら、自主避難者への対策を訴えた。
 川田議員といえば、生後間もなく血友病であることがわかり、治療で使われた非加熱の血液製剤によってHIVウイルスに感染。東京HIV訴訟の原告となり、19歳で実名を公表し注目を集めるなかで国と裁判で闘った経験がある。議員としても、「子ども・被災者支援法」の作成にかかわり、同法案が安倍政権によって骨抜きにされていることに異議を唱えてきた人物だ。
 
 きょうの復興特別委で川田議員は、こう語った。
「『裁判をするならすればいい』という大臣の発言に胸が痛んだ。自分が薬害エイズの裁判を経験して(思うのは)、被害者や被災者の人たちが自ら裁判をすることはすごく大変なんです。自分が裁判をやることで両親は離婚しました。経済的にも大変でした。経済的にも精神的にも裁判をやることは大変です。そう簡単に弁護士さんも見つかりません。裁判をやることはそう簡単なことじゃないんです」
 「私は、被災者の人たちが、裁判をやらなくてもしっかりとした救済や補償を受けられるようにすることが必要だと考え、『子ども・被災者支援法』を前もってつくったわけです。私は裁判にならなくても被害を受けた人たちが当たり前の権利として補償・救済されるのが『子ども・被災者支援法』だと思っています」
 
 川田議員の言うことはもっともだ。以前、本サイトでも紹介したが、『ルポ 母子避難――消されゆく原発事故被害者』(吉田千亜/岩波新書)には、“自主避難は自己責任”という風潮が政府、行政に蔓延していることから、自主避難する人びとが避難費用の自己負担によって生活が圧迫されている現実、さらには仕事のために夫だけが福島に残り、妻と子どもが避難するという二重生活によって夫婦関係が破綻してしまったケース、あるいは避難をめぐり家族内で意見が分かれ一家離散となってしまったケースなどが描かれている。原発事故によって多くの人びとがこれまでの生活を奪われ、家族さえも崩壊させられてしまったのだ。
 
 そうした現実を顧みることなく、今村復興相は“文句があるなら裁判でも何でもすればいいだろ”と啖呵を切った──。この言葉は、まさに自主避難者に向けられた国からの「暴力」と言っていいだろう。
 
 そもそも、4日の「暴言」でこの男が辞任に追い詰められることなく、いまもぬくぬくと復興大臣の座に就いていることが異常なのだが、もはや自主避難をする人びとを傷つけたという反省が微塵もないきょうの態度を看過することはできない。即刻、辞任すべきである。(編集部)