2018年8月4日土曜日

04- 政府、原発賠償の保険金額を引き上げず 現行の1200億円を維持

 原発事故に伴う賠償を定めた原子力損害賠償法の見直し、政府が、現行で最大1200億円となっている事故前に備える賠償金の引き上げを当面見送る方針を固めました。
 福島原発事故での賠償関連費は20兆円を超えているのに、1200億円では話になりません。政府が引き上げを見送る理由は明らかで、原発の発電コストを少しでも低く見せたいからです。当然不足する巨額な金額は取り敢えず国が出すという構想です。
 この期に及んでも、原子力ムラの利益最優先という政府の姿勢は微動もしないということです。
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政府、原発賠償金引き上げず 現行の1200億円維持
  河北新報 2018年8月3日
 原発事故に伴う賠償の仕組みを定めた原子力損害賠償法の見直しを巡り、政府が、現行で最大1200億円となっている事故前に備える賠償金(賠償措置額)の引き上げを当面見送る方針を固めたことが2日、関係者への取材で分かった。見直しを議論する政府の専門部会が1月にまとめた報告書素案では引き上げ幅や方法について意見が分かれたため検討を継続するとし、政府内や電力会社などによる調整が続いていたが、結論を先送りした。
 
 6日に開く専門部会で賠償措置額引き上げについて「今後も引き続き慎重な検討が必要」との最終報告書案を示す。
 東京電力福島第1原発事故の賠償は2018年7月時点で8兆円を超える。賠償措置額でまかないきれなかった分は、電力会社による拠出金と、東電による返済を前提とした国の支援で資金をまかなう別の制度を新たに設けて対応した。事故が起きれば巨額の賠償が必要となることが明確となり、賠償措置額引き上げの必要性が指摘されていたが議論は長期化。新たな事故への備えが不十分なまま、原発の再稼働が先行する状態が続くことになる。
 現行の最大1200億円の賠償措置額を引き上げた場合、電力会社が保険会社に支払う保険料や政府に毎年納める補償料が増額されることになるため、調整がつかなかったとみられる。
 国民からの意見募集を経て報告書を正式にまとめ、賠償措置額を据え置いたままの原賠法改正案を秋の臨時国会に提出する方向で調整している。
 改正案では、電力会社の賠償責任に上限を設けない現行の「無限責任」は維持する。事業者の過失の有無にかかわらず賠償責任を負う無過失責任や、原発メーカーの責任を問わず電力会社だけが賠償責任を負う責任集中の仕組みも残す。