2018年8月14日火曜日

福島市の巨大モニュメントにネットで批判

 福島市に恒久展示された現代アート・「サン・チャイルド」高さ6m)は、防護服姿の子供が、胸の放射線デジタル表示が「000」で放射線の不安がなくなったので、ヘルメットを外し左手で抱えて立っている姿をしています。
 
 福島市が、作者のヤノベケンジさんから寄贈されたその作品を今月から教育文化複合施設「こむこむ」入り口に展示したところ、インターネットで「科学的にあり得ない『000』表示が付いたものを設置するのは反対」「防護服が必要なほどだったという新たな風評を引き起こす」などの批判の上がりました。
 それに対して市側は「現代アートは科学とは異なり抽象化して表現します」として、放射線の不安がなくなった状態を「000」で表現したと説明しました。
 作者のヤノベさんは10日、自身のウェブサイトに「不愉快な思いをさせてしまった。『放射能』に対する知識の正確さが求められていることに配慮すべきだった」などと記載しました。
 
 芸術品レベルのものを、そこまで理詰めで批判するというのもどうかと思いますし、この種の問題では全員が納得できる解決法はなかなかないように思われます。どういう形で落ち着くのか、推移を見たいと思います。
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福島市の巨大モニュメントにネットで批判
「科学的にあり得ぬ」「新たな風評引き起こす」
 制作者謝罪、市と扱い協議
河北新報 2018年8月12日
 福島市に恒久展示された巨大モニュメントにインターネット上で批判が噴出し、制作者が謝罪文を掲載する事態となったことが11日、分かった。問題視されたのは作品の胸にあるデジタル表示「000」。放射線量を計測する線量計を模したが、「科学的にあり得ない」などと指摘された。
 作品は、東京電力福島第1原発事故に着想を得た現代アート。寄贈を受けた福島市の木幡浩市長はツイッターで「現代アートは科学とは異なり抽象化して表現します」などとつぶやきを重ねて理解を求めている。
 モニュメントは高さ6.2メートルの「サン・チャイルド」。ヘルメットを外した防護服姿の子どもの像で、放射線不安が解消された様子を表現している。
 現代美術作家ヤノベケンジさんが2011年10月に初公開した。今月からJR福島駅近くの教育文化複合施設「こむこむ」入り口に展示されている。
 
 批判は今月3日の除幕式以降に相次いだ。自然界には宇宙や大地からの放射線が存在することから「科学的にあり得ない『000』表示が付いたものを設置するのは反対」といった意見がツイッターなどに投稿された。「防護服が必要なほどだったという新たな風評を引き起こす」との声も上がった。
 放射線に詳しい菊池誠大阪大教授(統計物理学)も批判した一人。取材に対して「放射線量ゼロでないとヘルメットを脱げない、安全でないように見える点が問題だ。放射線への理解を広げる努力が水の泡になる」と懸念を示した。
 
 ヤノベさんは10日、自身のウェブサイトに「不愉快な思いをさせてしまった。『放射能』に対する知識の正確さが求められていることに配慮すべきだった」などと記載した。
 作品の狙いについては、河北新報社の取材に「胸の数字は、原子力災害がない世界という象徴的な意味を込めた」と説明。誤解される恐れも念頭にあったが、「作品全体で希望のイメージを伝えられると思い込んでしまった」と語った。今後は作品の扱いを福島市などと話し合う考えだという。