川内原発(鹿児島県)と玄海原発(佐賀県)について、姶良カルデラなど5つのカルデラ火山で巨大噴火の兆候を監視することが九州電力に義務づけられていますが、肝心の原子炉の停止を判断する基準はありません。
原子力規制庁は10日、巨大噴火の発生時期や規模を正確に予知する技術はない(⇒原子炉の停止を直接判断する基準を作るのは困難)として、より小さい規模の噴火の前触れの段階で、原子炉を停止させる検討を始めるための基準を策定する考えを示しました。
事実上そう対応するしかないのでそれは早急に進めるべきですが、「巨大噴火の発生時期や規模を正確に予知する技術はない」ことは当初から火山学会が強調していたものです。それに対して九電は山体膨張などで判定できると強弁し、規制委もそれを追認して再稼働させた経過があります。
それを、今更なし崩し的に軌道を修正しようとしても問題は解決しません。
万一火砕流が原発に到達すればその高熱でケーブルが全て燃焼・破損するので、原発が停止していようがいまいが、遠隔操作を含めた電気的コントロールを完全に失う結果、人間も絶対に近づけない中で「破局的大爆発」に至るのは必然です。
従って不完全・姑息な対策を講じるのは無意味で、原発は廃炉にし、原発内の核燃料を全て安全な場所に移すことしかありません。
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小さな噴火の前触れでも原子炉停止を検討 原子力規制委
NHK NEWS WEB 2018年8月10日
原子力規制委員会は、カルデラ火山で巨大噴火が起きる前に原子炉を停止する判断について、巨大噴火を正確に予知することは困難で、より小さい規模の噴火の前触れの段階でも巨大噴火につながるおそれがあるとして、原子炉の停止を検討する考えを示しました。
原子力規制委員会は、鹿児島県にある川内原発と佐賀県にある玄海原発について、周辺にある姶良カルデラなど5つのカルデラ火山で巨大噴火の兆候がないか監視するよう九州電力に義務づけていますが、原子炉の停止などを判断する基準がないことから火山の専門家で作る審議会で検討を続けています。
10日、事務局の原子力規制庁から判断基準についての基本的な考え方が示され、巨大噴火の発生時期や規模を正確に予知する技術はないとして、原子炉の停止を直接判断する基準を作るのは現状では困難だとされました。
そのうえで、より小さい規模の噴火の前触れの段階でも巨大噴火につながるおそれがあるとして、原子炉の停止を検討することとし、その検討を始めるための基準を策定する考えが示されました。
実際に停止するかどうかは、規制委員会がさまざまなデータを考慮して判断するとしています。
これについて専門家からは「小さな噴火から、カルデラ噴火につながるかはわからない」とか「火山によって状態が違うのに、すべてに同じ考え方が当てはまるのか」といった意見が出されましたが、大筋で了承され、次回以降具体的な基準を検討していくことになりました。