韓国ハンギョレ紙の記事の紹介です。
韓国の原子力学会が「国民の71%が原発に賛成」という調査結果を発表して「脱原発政策を修正せよ」と要求したことを巡り、「原子力界が自ら実施した調査結果まで歪曲して解釈している」という指摘が出て、議論がおきています。
「原発を利用することについてどう思うか」という質問に賛成すると答えた場合、たとえ回答者が「原発が当面は必要でも、徐々に減らしていくべきだ」という考えを持った人であっても「原発利用賛成者」に含まれる可能性があるわけで、現に、現代経済研究院が1009人に「政府は原子力発電と石炭発電を縮小して新再生と天然ガス発電を拡大する環境にやさしいエネルギー政策を推進中だ。これについてどう思うか」と尋ねたのに84.6%が賛成し、韓国ギャラップが1001人に「原子力と石炭を減らし新再生を増やすエネルギー転換」に対する意見を尋ねた時も72%が賛成だと答えたことから、原子力学会が主張しているような理解は間違いだという訳です。
興味深い指摘です。
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「原子力発電所賛成71%」のアンケート調査を恣意的に解釈した原子力学会
ハンギョレ新聞 2018年8月20日
猛暑の最中の6~7日1000人対象の調査
「電気生産手段としての原発賛否」の質問
‟当面は必要だが減らしていくべきという意見も 原発反対世論にしてしまう錯視効果”
‟すべての発電源提示して適切度問えば 太陽光・風力54%、原子力30%、ガス13%”
原子力学会が16日「国民の71%が原子力発電所に賛成」という調査結果を発表して「脱原発政策を修正せよ」と要求したことを巡り、論議がおきている。今回の調査結果に対して「原子力界が自ら実施した調査結果まで歪曲して解釈している」という指摘が出ているためだ。
原子力学会が韓国リサーチに依頼して19才以上の1千人を対象に去る6~7日の二日にかけて電話面接した調査結果を見れば、回答者の71.6%は「電気生産手段として原子力発電所を利用することについてどう思うか」という質問に賛成すると答えた。この調査によれば、たとえ回答者が「原発が当面は必要でも、徐々に減らしていくべきだ」という考えを持った人であっても「原発利用賛成」の世論に含まれる可能性がある。このため今回の調査結果を活用して「エネルギー転換政策反対世論が71%に達する」とした原子力学会の解釈は錯視効果を量産するものという指摘が出ているのだ。
ある世論調査会社の関係者は「『電気生産手段として太陽光を利用することをどう思われますか』と尋ねたとすればどうだったか、想像してみれば簡単に分かる」として「この質問にも相当数の回答者が『太陽光も利用すべきだ』と賛成意見を出しただろう」と皮肉った。
政府は現在、寿命が残っている安全な原発は利用を続けるが、60年余りにかけて原発依存度を徐々に低くしていくエネルギー転換を推進中だ。 これをきちんと反映させて賛否を問うた他の世論調査での質問内容は、原子力学会の調査とは全く違う。 現代経済研究院が5月30日から6月7日まで成人1009人を対象に「政府は原子力発電と石炭発電を縮小して新再生と天然ガス発電を拡大する環境にやさしいエネルギー政策を推進中だ。 これについてどう思うか」と尋ね、回答者の84.6%が賛成意見を示した。 韓国ギャラップが6月26~28日1001人に「原子力と石炭を減らし新再生を増やすエネルギー転換」に対する意見を尋ねた時も、72%が賛成だと答えた。
今回の原子力学会調査でより目を引く部分は「発電源選好」調査だ。 原子力一つだけを提示して賛否を尋ねるのでなく、ガス・石炭・太陽光・風力を全部提示した上で「我が国の電気生産に最も適したものは何だと思うか」と尋ねると、回答者の44.9%が太陽光を、9.1%が風力を第1順位に選んだ。 過半数が太陽光・風力発電を優先的に選択したわけだ。
これに比して原発を挙げた回答者は29.9%、ガスは12.8%、石炭は1.7%に留まった。 選好する発電源を2つ挙げよという第1順位、第2順位統合調査では太陽光・風力が55.7%とより多くの支持を受け、原子力は24.1%と選好度が落ちた。 当該調査が異常な猛暑が続いて電力需要不安と電気料金累進制に対する不満世論が強調されていた8月初めに実施された点を考慮すれば、むしろ再生エネルギーに対する国民の支持が相当高いという解釈が出てくる。 (チェ・ハヤン記者)